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補聴器に関連した投書箱SUGGESTION BOX

【楽しく明るく補聴器を着ける時代の到来】を実現するために、たくさんの投稿を掲載して行きます!

補聴器を購入する時に、知っておくべき情報を善意で投稿してくださる方々もおられますし、国民生活センターに補聴器に関連したクレームが多数寄せられているように、補聴器の購入、調整、アフターケアなどで経験された悩みや問題の内容を投稿して頂ける方々もおられます。
いずれの情報も、これから補聴器を購入する方には大変参考になる情報ですので、ぜひたくさんの投稿を御寄せ頂けることを望んでいます。

K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その24!

カテゴリ: 難聴や補聴器の解説投稿

K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その24!

 

補聴器は片耳だけで充分?両耳装用の様々なメリット

 

両耳装用ならば聞こえの範囲が左右同じになりバランスが崩れません。本来の聞こえの範囲を取りもどすことで、音の方向感もつかみやすくなります。片耳だけでは騒音下での聞き取りが低下し、言葉の聞き取り能力の衰えも懸念されます。

 

●日本では「補聴器は片耳で十分」と考えられている 

補聴器は片耳につれば十分と思っている人が多いのが、日本の現状です。それでも、世界に目を向けてみれば片耳装用は少数派。ドイツ、フランス、スイスでは両耳装用が7割を超えています。対して日本はどうかというと、5割程度に留まっています。

つけないよりは、片耳であってもつけたほうが聞こえは改善します。今までほとんど聞こえなかった会話や周りの音が聞こえるようになっただけで満足という人もいるでしょう。ですが、左右の耳で聴力の差がなければ、両耳に補聴器を装用する方がはるかに恩恵を受けられるのです。

最近の補聴器の中には、両耳装用を前提に設計されている製品もあるくらいです。片耳では聞こえの範囲がつけている側に偏ってしまいます。両耳ならば聞こえの範囲が左右同じとなりバランスが崩れません。本来の聞こえの範囲を取りもどすことで、音の方向感もつかみやすくなるのです。

 

●両耳装用することのメリット 

両耳とも難聴という前提がつきますが、両耳装用には多くの利点があります。

 

・音の方向感が得られる

片耳だけにつけていれば、聞こえの範囲は片方に偏ります。装用していない側から話しかけられても聞き取れないだけでなく、音がする方向もつかみにくくなります。左右から得られる音には、わずかながら大きさと時間の差があります。それを分析することで人は方向感を得ています。目も耳と同様に2つありますが、これによって左右の目から入る映像の差で対象を立体的に捉えることができています。耳にも同じことが言えるのです。

外を歩いていて後ろから車や自転車が近づいているのに、両耳に補聴器がないばかりに気付けないかもしれません。物の落下音や悲鳴が聞こえたとしても、どの方向からなのかどのくらいの距離からなのかを把握できなければ日常生活に潜む危険から身を守ることができません。方向感覚や距離感を保つ意味でも両耳装用は有効です。

・言葉が理解しやすくなる

もともと人は音を両耳で聞いています。両耳から音が入ってきた方が、脳が音を処理しやすく言葉として認識しやすくなっているのです。左右の耳から入ってくる微妙な音のちがいを手掛かりとして、よく似た音と区別しています。

加えて、両耳から音が入ってくることで、片耳だけの時よりも小さな音を聞き取ることができます。会話や言葉の理解のためには、両耳から音が入ってくる方が有利です。

 

・補聴器を装用していない耳の聞き取り能力の衰えを予防できる

片方の耳だけ聞こえが低下しているならば、悪い方の耳に補聴器を装用することで左右のバランスをとることができます。ですが、両方の耳で聴力が衰えているにもかかわらず片耳にしか装用しなければ、左右のバランスは崩れます。

耳に入った音は、脳内で神経回路を通って言葉として認識されます。耳に音が入ってこなければ、使われない神経回路は劣化します。このため、長期間片耳装用を続けると反対側の耳の聞き取り能力が落ちてしまうのです。

 

・雑音の中でも聞き取りやすくなる

人が多く騒がしい場所では、さまざまな音が各所から聞こえてきます。その中から自分に必要な会話だけを聞き取るには、やはり左右の耳が活躍するのです。左右それぞれの耳から入る音の差によって、騒音をカットし必要な音だけを聞き分けているというわけです。

 

・耳が疲れにくい

片耳装用は、両耳装用よりもどうしても聞き取りにくくなります。必要以上に音量を上げることにもなるために耳への負担が大きくなってしまいます。

 

●両耳装用することのデメリット 

両耳装用で二の足を踏むのは、何といっても費用面でしょう。1台でも高価なものなのに、両耳となれば単純に費用は倍になります。しかし、メーカーや機種によっては2台購入すると両耳価格として割引価格を設定していることもあります。予算的に厳しければ、機種のランク落としたもので両耳にした方が聞こえにとってはよい場合があるので販売店で相談してみましょう。

また、初めて使う人にとっては、補聴器を耳に入れるわずらわしさや違和感が気になっているかもしれません。確かに慣れるまである程度の期間は我慢する必要がありますが、時間が解決してくれます。

 

●聴力に左右差がある場合は両耳と片耳どちらにすべきか?

少し前までは左右差があると片耳装用が推奨されていたのですが、最近では両耳装用が勧められています。どうしても片側にしたいのであれば、まず聞こえのより悪い方の耳につけて両耳効果を期待します。片方が中程度の難聴でもう片方が重度難聴ならば、比較的によい方の耳につけて聞き取りをよくします。

簡単な決め方としては、電話の受話器をつける方の耳を装用耳とする方法があります。片方の手が不自由ならば、反対側につけることになります。

一方の耳しか装用しない場合でも、耳かけ型やポケット型の補聴器ならば両耳用のイヤーモールドを準備して左右の耳で交互に使うという方法もあります。ある程度は言葉の聞き取り能力低下を防ぐことができます。

K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その6!

カテゴリ: 難聴や補聴器の解説投稿

K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その6!

 

難聴が認知症の危険因子といわれる理由は?リスクを予防するには

 

認知症の要因として、「加齢」「高血圧」「糖尿病」「喫煙」などと並び難聴が挙げられます。聞こえないことでコミュニケーションが取れなくなり、孤立し疎外感を味わうからです。外からの刺激がなくなると、認知能力は低下します。

 

●難聴は認知症の発症要因の一つ 

高齢化が進む一途をたどる日本では、高齢者の4人に1人が認知症ないしは予備軍といわれています。団塊の世代が後期高齢者となる2025年には、その数は700万人を超えるとされています。

これを受けて、政府は認知症対策として新オレンジプラン(認知施策推進総合戦略)を策定しました。これは、2015年に厚生労働省により設けられたもので、認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしくくらし続けることができる社会の実現を目指しています。このなかで、認知症の危険因子についてもふれています。なんと、「加齢」「高血圧」「糖尿病」「喫煙」などと並んで、難聴が危険因子として挙げられているのです。

 

●難聴が、認知機能にどう悪影響を及ぼすのか?

聞こえが悪くなることで実際に困るのは、聴力の衰えそのものよりも、人とのコミュニケーションが取りづらくなって周りへの興味関心が薄れてしまうことです。

耳の聞こえが悪ければ、外へ出て人と話すことが段々おっくうになってきます。話しかけられても内容がわからない、何度も聞き返すのもきまりが悪い、受け答えがうまくできない…。このような煩わしい思いをたびたび経験するうちに、「外で人と会わなければいいや」と考えるようになるのです。そして、それまではカルチャースクールやジム通い、ボランティア活動などに精を出し活発だった人が、何をするにも面倒になり、引きこもりがちになってしまうのです。

また、仲間内で楽しくおしゃべりしていても、ほかの人が話していることがわからないと陰口を言われているように錯覚することがあります。実際にはそうではなくても、ひそひそ話をされているように感じるので、自分のことを悪く言っていると誤解してしまいます。みんなに伝えているはずの話も、聞こえないせいで自分だけが知らない、ということも出てきます。そうして次第に疑心暗鬼になって他人を避けるようになり、人との会話や社会との関わりが無くなっていくのです。

一般的に人間の脳は時間とともに能力低下していくものですが、刺激を与えることである程度は活性化することができると言われています。人とふれあい、会話し、社交的に活動することは脳への良い刺激となり、脳の活性化に有効です。

しかし、年をとれば行動範囲も狭まり、ただでさえ外から入ってくる刺激は少なくなります。それに加えて、コミュニケーションの機会まで減ってしまうと、脳は老化の一途を辿ることとなってしまうのです。

難聴になったからといって即認知症になるわけではないのですが、聞こえないことで世界が狭まり、認知機能にまで悪影響を与えるようになるのです。

 

●難聴による認知症リスクは回避できる! 

耳が聞こえないことは命に直接係わることでもなく、見た目に影響を及ぼすものでもありません。ほかの老化現象と比べても、日常的に危険にさらされるということも、痛み感じることもありませんので、多少の不便であれば、と見過ごしている人が少なくありません。

しかしながら、抑うつや認知症にまで発展するリスクのある難聴を放っておいてよいはずがありません。

これまで、難聴と認知症の関係性について解説してきましたが、実は難聴は「予防できる要因の中で、難聴は認知症の最も大きな要因である」と言われています。

つまり、難聴を改善すれば、認知症になる可能性を排除することができるというわけです。

聞こえが悪くなってきたと感じたら、放置せずに早めに対処しましょう。聞こえの力を保つことで、脳は活性化し家族や友人とのコミュニケーションも楽しくなります。認知症予防はもちろんのこと、生活の質の向上も期待できます。

 

●補聴器装用により聞こえの悪さを軽減

聞こえの悪さは補聴器で補うことができ、聞こえるようになれば、会話でのコミュニケーションが取れるようになります。それまで大声で一方通行の語りかけしかできなかったものが、他愛のないおしゃべりや冗談も交わせるようになり、社交性を取り戻すことができるのです。

耳から言葉を入れ、脳で考え、また言葉にして相手に返す。

この一連の流れで、脳はフル回転します。会話のキャッチボールは、楽しさや興味といった気持ちを呼び起こし、脳を刺激します。つねに刺激を受けている脳は衰えることを知らないとも言えます。

新しい情報にアンテナをたてていれば、周囲とのかかわりもいっそう楽しくなり、生活にハリがでてくることでしょう。家族関係や友人関係を良好なものにするために、耳の聞こえは欠かせません。

K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その23!

カテゴリ: 補聴器に関連した投書箱

K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その23!

 

まるで小さなコンピュータ、デジタル補聴器の仕組みと構造及び機能群

 

マイクで集めた音はデジタル信号処理装置に送られます。単純に音を大きくするだけではなく必要な音を聞きやすくするような調整も行います。騒音や雑音をカットし言葉だけを強調することで、より快適な聞こえをつくりだしています。

 

●補聴器の仕組みと構造

補聴器の仕組みを簡単に言ってしまえば、入ってきた音を大きくして伝えるというものです。具体的にはマイクで集めた音をアンプで増幅しスピーカーで音を出すのですが、それだけにはとどまらず、入ってきた音を聞きやすく加工する機能ももっています。適切に音を加工することで、大きすぎる音を抑えたり、不快と感じる音を調整したりすることができるのです。

補聴器はアナログ補聴器とデジタル補聴器の2つに分類できます。拾った音を電気信号に変え処理するのですが、この電気信号処理回路の方法がアナログとデジタルの分岐点となります。

現在主流となっていて、補聴器店でもまず勧められるのがデジタル補聴器です。ごく小さな高性能部品の集まりからなり、小さなコンピュータといっても過言はないほどの機能を有しています。

音の入力部であるマイクは高性能で小型なものが使われます。特定の方向からの音を拾いやすくするための機能がついた機種では複数のマイクがある場合も。音の入力はほかにも、電話聞くためのものや無線対応するための受信機が取り入れられたタイプもあります。

マイクで集めたアナログの音はデジタルの音へと変換され、アンプの役割を果たすデジタル信号処理装置に送られます。ここでは入ってきた音を電気的に増幅するのですが、単純に音を大きくするだけではなく必要な音を聞きやすくするような調整も加味されています。騒音や雑音をカットし言葉だけを強調することで、より快適な聞こえをつくりだせるのです。この装置もごく小さなICチップで複雑な処理を高速で行っています。補聴器自体の性能を決定する心臓部といってもよいほど、重要な部分となっています。

調整された電気信号を再びアナログの音に戻し、鼓膜に届けるのがスピーカーの役割です。補聴器専用の小型で高音域に対応できる高性能な部品が採用されています。

それぞれの部品が動作するためには電池が必要です。主なタイプはボタン型の空気電池ですが、耳あな型、耳かけ型、ポケット型などのタイプによって使用する電池の種類も決まってきます。最近では充電式の電池も登場し、シェアを広げつつあります。

 

●飛躍的な技術進化を遂げる補聴器の機能群

デジタル補聴器が登場してからというもの、さまざまな機能が飛躍的な進化を遂げています。音の処理をする部分で使われているICチップの性能向上によって、より高度な処理が可能になり自然な音や声の聞き取りに威力を発揮しています。快適な聞こえのための補聴器に備わった機能のうち、最近の代表的なものについてご説明します。

 

・音を最適に調節する機能

補聴器が必要な人の大半が感音難聴ですが、この場合聞こえはじめる音からうるさいと感じる音までの幅が狭くなっています。そこで、聞こえる幅を広くする機能が「ノンリニア増幅」です。大きな音はそのままに小さな音は大きくするなど増幅の幅を調整することにより、幅広い範囲の音が聞こえるようになります。

 

・雑音を押さえて聞き取りやすくする機能

難聴の人は、静かな環境では会話が聞き取れても周囲がちょっと騒がしくなるだけで急に聞き取れなくなってしまいます。単に音を大きくするだけではなく、いかに雑音を取りのぞくかが決め手となります。

家の中で家族と会話するときに耳障りとなる、エアコンや冷蔵庫が出す小さな音があります。また、車や電車の走行音などの少し大きな音も、周りにあふれています。これら会話のじゃまになる騒音を抑える「騒音抑制」という機能もたいてい備わっています。

補聴器がズレたりすき間ができているときに響く「ピーピー」という、ハウリング。不快な音ですが、これもさまざまな「ハウリング抑制」機能で押さえられるようになっています。

 

・指向性

話しをしたい相手は正面にいるのが普通です。つまり聞きたい音はつねに正面にあります。しかし、雑音は所かまわずあちらこちらの方向から聞こえてくるので、必要な音が邪魔をされてしまいます。そのために登場したのが、特定の方向の音を上手く拾えるようにした「指向性」です。

 

・より利便性を上げるための機能

生活していれば、ずっと同じ場所にいるわけにはいきません。静かな家の中ではちょうど良かった聞こえ具合も、想像しい屋外では音がうるさく聞こえすぎるでしょう。環境が変わるごとに調整をするのは面倒ですし、ちょうどよく合わせられるとは限りません。

そこで、便利なのが「自動音量調整機能」や「マルチメモリー」です。補聴器を直接操作しなくても、まわりの環境に応じてボリュームや設定を自動で判断して調整してくれる機能です。

 

・ワイヤレス機能

現在、補聴器メーカーがもっとも力を入れているのがこの通信機能です。主に3つの分野で開発が進んでいます。

1.携帯電話との連動

2.インターネットとの連動

3.遠隔からの補聴器調整

K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その22!

カテゴリ: 難聴や補聴器の解説投稿

K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その22!

 

補聴器選びは調整が重要!フィッティングの手順

 

補聴器選びのあと、調整、聞こえの確認と評価一連の流れを「フィッティング」と呼びます。補聴器では本体そのもの以上に、フィッティングが重要な役割を果たします。専門知識と経験をもつ補聴器技能者がいる店舗なら信頼がおけます。

 

●フィッティングの必要性と重要性 

メガネを新しく使いはじめるとき、できあがってきたままで自分にぴったり合うことはまずありません。老眼や乱視の具合に応じてレンズはつくられ、フレームも好みのものを選んでいるでしょう。それでも、できあがったものを実際にかけてみて、鼻へのあたりやレンズの位置など微調整を施すのが通常です。簡易的な老眼鏡やサングラスならば、購入したままで使うこともあるかもしれませんが、そうした既製品は使用頻度の低いものに限られます。

補聴器は五感の中で大きな役割を果たす聴覚をサポートする大事な機器です。体の一部として生活の中で毎日のように使う道具は、自分の状態や好みに応じて調整することが望ましいです。補聴器選びのあと、調整、聞こえの確認と評価一連の流れを「フィッティング」と呼びます。補聴器では本体そのもの以上に、フィッティングが重要な役割を果たします。

難聴といっても、聞こえの具合はみな異なります。高音が聞こえにくい人もいれば、低音が聞き取りにくい人もいます。また、個人の状態だけでなく、聞きたい音の対象や使いたい場面もそれぞれちがっています。あまり外出することのない高齢者で家族との会話で聞き取りを改善したい人、活動的に過ごし音楽やお芝居も積極的に楽しみたい人など、補聴器自体のタイプや機能でまず選択肢は分かれていきますが、同じ補聴器を使うとしても、その人に必要となる機能やその度合いが全く同じはずはありません。

デジタル化した補聴器には、多種多様な聞こえを向上させるための機能が搭載されています。使う人が快適な音を得られるように、検査した聴力の数値に応じて細かな調整をしていくのです。それぞれの機能は複雑に連動しているため、最初の調整はパソコンとつないで専用ソフトで行います。

その後、実際の聞きやすさを技術者が確認します。機械的に行った調整だけで満足できる聞こえとなることもありますし、微調整を加えることもあります。静かな店舗内で装用しているときは何でもなかったものが、外を歩いてみたり家の中で過ごしたりしていると気になる点がたいてい一つや二つは出てくるものです。

ありがちなのが、「うるさい」と感じることです。補聴器をつけることでこれまで聞こえなかった音が入ってきます。とくに雑音が気になりますので、初めは増幅を小さめにしてだんだんと大きくする、装用時間も長くしていく、というように調整が欠かせません。

簡単なように思えますが、単純に音を大きくするだけではなく、不快域値を超えないような出力調整が求められるのです。問題が補聴器の特性ではなく、感覚的な問題であればカウンセリングや生活環境に応じた使い方を提言します。

このほかにも、「自分の声がこもって聞こえる」「ハウリングが起きる」「言葉がはっきりしない」などの不満を感じることもあるかもしれません。生活の場面で使いながら感じた不具合は、そのつど書き留めておいて定期点検の際などに購入店で相談してください。聞きづらい状況をふまえ根気よく調整を重ねていくことで、あなたにフィットした補聴器に育っていくのです。

 

●認定補聴器技能者とは 

医療器でもある補聴器です。選び方や使い方でつまずかないために、専門知識をもつ認定補聴器技能者が存在します。認定技能補聴器技能者とは、公益財団法人テクノエイド協会が認定して付与する資格で、一定の基準以上の知識や技能をもっているかどうかを計っています。

この資格を得るためには最低でも4年の養成課程を経て、認定試験に合格しなくてはなりません。養成課程ではカウンセリングで必要となる臨床心理学なども学びます。さらに、5年ごとの資格更新制となっているため、継続するには既定の講習会を受けなければなりません。つまり、認定補聴器技能者はつねに最新の情報と技術を身につける体制におかれているのです。

カウンセリングから補聴器の提案、調整といった細やかなアフターケアも、有資格者ならではの確かな技術で対応してもらえる可能性があります。但し、資格を取ったばかりの技能者はまだ経験が不足している可能性があります。また、長年資格は保持していても、販売店の経営だけに携わり、実際に補聴器の取扱いをしていない資格者もいます。認定補聴器技能者については、現在どのようなことをしているのか、本人に確かめてみることが肝要です。

 

●フィッティングの手順

補聴器専門店で、どのような流れでフィッティングしてもらえるのかを予習しておきましょう。

1.相談

耳鼻咽喉科からの診断書(聴力検査の結果)があれば、お店に渡します。聞こえで困っていることがあればできるだけ具体的に伝えましょう。補聴器を使いたい目的もあわせて相談をしましょう。

2.聞こえの測定

補聴器を調整するために必要なデータを集めます。防音室に入り、ヘッドホンをつけ聞こえの確認をします。オージオメーターという機器で聴力や語音明瞭度を測定し、これをもとに補聴器をいくつか選定します。ここで補聴器の価格の話も出てきます。

3.補聴器の試聴・確認

選んだ補聴器をつけた状態で聞こえを測定します。装用する前と後とでデータを比べ、効果を確認します。

4.補聴器の調節

測定の結果を見ながら補聴器の調節をします。パソコンと接続し調整用のソフトを使って最適な聞こえに合わせていきます。これをいくつかの機種で繰り返します。

5.補聴器の試聴

最終的に選定した補聴器を自宅に持ち帰り、一定期間の試聴をします。期間は販売店委よって異なるので、よく話を聞いてください。一定期間終了後、試聴期間中に気付いた点を再度調整します。

6.補聴器の購入

ご本人が納得された段階で、購入にすすみます。製品によってその時にお渡しできるものと、メーカーに発注して届く場合と別れますが、いずれにしても、実際に購入された製品を受け取るときに、補聴器の取り扱いや乾燥の方法、電池の交換法について説明を受けます。相談内容や調整のデータは保存されているので、使ってみて不都合があればいつでも相談してください。

7.アフターケア

購入したら終了ではありません。その後さらに気付いた点も出てくる可能性がありますし、耳垢などのお手入のこともありますので、購入した販売店には定期的に行って、微調整や点検をしてもらうことが大切です。

K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その21!

カテゴリ: 難聴や補聴器の解説投稿

K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その21!

 

補聴器は効果を感じるまでに期間が必要。慣れるまでの使い方

 

補聴器はつけてすぐに効果を感じられるものではありません。

急に聞こえるようになった周囲の音に慣れるまでには、ある程度の時間が必要です。

補聴器の音を抑え気味にしておき、だんだんとレベルを上げて調整していきます。

 

●補聴器の効果を感じられるまでには時間がかかる 

補聴器を初めてつけると音が大きく聞こえ、雑音をうるさく感じがちです。

補聴器さえ使えば昔のように鮮明な聞こえが取りもどせると思っていた人にとっては、期待との落差にがっかりしてしまうかもしれません。

買ってはみたものの、こんなものかとすぐに使わなくなってしまったという人もいるでしょう。

補聴器をつけた瞬間から、すべての音が快適に聞こえることはまずありません。補聴器を通って聞こえる音は、その機種のタイプや性能、

つける人の難聴の具合によってもちがってきます。

最新の機種を使っても、自分の耳で聞く音と完全に同一にはなりません。

今まで聞こえていなかった音が急に聞こえ出すようになるので、

最初のうちは誰しも戸惑います。

耳栓やイヤーモールドも、見えない耳の穴にすき間がないようにはめなければなりません。最初のうちは手間がかかりますし、耳が痛くなったりかゆくなったりすることもあります。補聴器は小型化されてきたとはいえ、それまで何もつけていなかった耳の周辺に機械や耳栓をつけるのですから、違和感を覚えない方が少数派でしょう。

小さな補聴器の本体ボタンを操作するのも、始めのうちは何をどうすればよいのか戸惑います。補聴器に限らず、新しい機械や道具を使い始めるときは、慣れるまで若干の練習期間がいるものです。例えば車の免許を取っても、いきなりベテランドライバーと同じように運転することはできません。実際にいろいろな道を走行して、小さな失敗を重ねながら経験をつんで自分の足のように使いこなせるようになりますよね。

補聴器も例外ではありません。使いながら、自分に合うように調整を重ねていくことで、最適な聞こえが見つかるものです。すぐにあきらめずに、自分のペースで慣れていきましょう。

 

●慣れるまでに時間がかかる理由 

補聴器に慣れるまで時間がかかってしまう理由は主に3つあります。

 

①音と雑音をすぐには区別できない

補聴器を初めてつけると音は聞こえるようになりますが、雑音もうるさく感じます。時間をかけて徐々に聴力が落ちてきた人では、音が聞こえない状態が通常になってしまっています。脳は外界にあふれている音の中から自分に必要なものだけを無意識のうちに選び出していますが、補聴器をつけることで、今まで消えていた多くの音が聞こえるようになります。突然のことに、脳は必要な音と不要な音を区別することができずに、すべての音を認識してしまうのです。

会話だけに集中したいのにまわりの騒音まで大きく聞こえるようになるので騒々しく感じ、しばらくは不快に感じます。ただし、これはいわば耳が驚いている状態ですので、慣れてくるにしたがって雑音は気にならなくなります。

 

②言葉の聞き取りを再学習するため時間を要する

耳から入ってきた音が、そのまま言葉として認識されるのではありません。私たちは、音の成分の構成要素を手がかりに、脳にストックされている声や言語のパターンと照らし合わせて意味のある言葉として捉えています。

聞こえが悪くなっていくのを放置していると、脳に届く音の情報量が絶対的に不足するためにパターンとの照らし合わせが難しくなってきます。そして、聞こえた音が「あ」なのか「は」なのか区別しづらくなります。さらに、判断するために時間がかかるようになるのです。

入ってきた音と脳の中の辞書を照らし合わせる行為は、繰り返されるほど脳内の神経回路がしっかりとしてきます。補聴器を使うことで、脳に送られる情報は増えます。最初はわからなくても、しだいに音を分析できるようになっていきます。つまり、補聴器を使っていけば時間はかかったとしても、次第に言葉の聞き取り能力はある程度回復する可能性があるのです。

 

③最初は補聴器を抑え気味にしている

補聴器を使うことで、いきなり音が大きく聞こえ出します。それまでの静かな聞こえから一転して、周囲の音が飛び込んでくるようになるので、変化の大きさにストレスを感じてしまいがちです。そのため、最初のうちは補聴器の増幅は抑えぎみにして様子をみるのが一般的な流れです。

慣れてくると、抑え気味の音では物足りなさを感じるようになってきます。これは補聴器から聞こえる音に脳が適応してきたサインです。ここでようやく通常のレベルに設定し直してもらうこととなります。こうして段階を踏みながら調整を進めていくため、どうしても時間がかかってしまうという側面はあります。

 

●使い始めるのは、超高齢を迎える前に!

意外に思われるかもしれませんが、補聴器を使い始めるのは若い人ほど早い傾向があります。仕事や生活の中で他人とコミュニケーションをとる必要があるためでしょう。

それに対して高齢者では退職していることも多く、仕事上で必要に迫られることがありません。人と会う機会も現役時代よりは減りますし、同年代の人も自分と同じく聞こえが悪いことが多いので、格段不自由を感じません。

補聴器を使い始めるのはもっと先でもいいと思っている人もいるでしょう。聞こえは個人差があるのですが、しかし、およそ85歳を過ぎると補聴器を使っても聞こえが改善しにくくなります。操作への適応をとっても、苦労することは目に見えています。必要性を感じているようでしたら、早いうちから導入を検討してください。

K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その20!

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K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その20!

 

耳あな型や耳かけ型の補聴器で使用する空気電池の正しい使い方

 

空気電池は同じサイズの乾電池と比べて電池容量、寿命が2倍です。安定した電圧で供給でき精密機械に適しています。空気電池は空気にふれることで発電しますが、一度はがしたシールは再度貼らないようにしましょう。

 

●補聴器に使われる空気電池とは

ポケット型補聴器では乾電池が使われていますが、耳かけ型、耳あな型補聴器では「空気電池」が使われています。空気電池は-極に亜鉛が用いられているため、「空気亜鉛電池」と呼ばれることもあります。

一般的に電池には正・負の極活性物質が必要です。空気電池では正極活性物質として空気中の酸素を利用するので、電池内に正極活性物質がなくても発電できる仕組みです。これにより、空気電池は同じサイズの乾電池と比べて電池容量が2倍になり、寿命も2倍になります。電圧の変化も少なく、安定した電圧で供給できます。このような性質が小型の精密機器である補聴器に適しているのです。

空気電池のサイズは4種類あり、サイズが大きくなるにつれて電池容量も増え、使用時間も長くなります。補聴器の大きさに応じて使う電池のサイズも変わってきます。

空気電池は+極に小さな空気穴が開いています。新品の状態では穴をふさぐようにシールが貼られています。シールをはがすことで、穴から電池内に空気が取り込まれて発電し始めます。空気が入ってから電圧が安定するまでにしばらく時間を要する可能性がり、電池入れ替え後すぐは動作が安定しないことがあります。シールをはがして数十秒空気にふれさせてから取り付けるとよいでしょう。

 

●空気電池の取り扱い上の注意点 

空気電池は空気にふれることで発電します。いったんシールがはがされれば、つねに電池は発電を続けます。こうなると、再度シールで穴をふさいでも発電は止まりません。使う直前までシールははがさないようにしましょう。

空気電池は二酸化炭素に弱いため、冬場の暖房中の室内などでは適度な換気を行ってください。電池内に二酸化炭素を取り込むと発電性能が低下し、電池の寿命が縮みます。

寒冷地では発電性能が低下します。適正温度は20度で、気温が5度を下まわると電池寿命に悪影響を及ぼします。寒い場所で使う際には、できるだけ電池が冷えないように工夫しましょう。保管場所に気をつけ、電池が極端に冷たいと感じた時には手で少し温めてから使ってください。

電池の保管場所はペットや子どもの手の届かないところにしましょう。誤って飲み込んでしまうと、電流や漏出したアルカリで食道や胃に穴が開いてしまうこともあります。決まった場所に保管する習慣をつけておけば安全です。

●空気電池の寿命を延ばすために気を付けること 

空気電池の性質上、発電を開始するシールを取り去ってしまえば、実際に使わなくても少しずつ放電していきます。しばらく補聴器を使わないときに、シールを貼りなおして放電を止めようとする人がいますが残念ながら効果はありません。いったん空気に触れてしまえば酸化反応はどんどん進みます。使わなくても1~2カ月程度で消耗してしまうものです。

若干の水蒸気や炭酸ガスも入るため、保存性自体も低下します。下手にシールを貼りなおすと、次に電池を使う時に発電が上手くできないなど、予期せぬトラブルの元となる可能性もあります。空気電池は使いはじめたら、早めに使い切ることが大切です。

 

●空気電池を交換するタイミングと交換方法、処分方法

電池の寿命は、使っている補聴器の種類や使用頻度、ボリュームの大きさ、使用環境で大きく異なります。一概に断定はできませんが、毎日8~10時間装用するとして、耳あな型で約1週間から10日、耳かけ型で10日から2週間くらいをみておけばよいでしょう。実際には、電池がなくなりそうになるとアラームで知らせてくれますので心配はありません。

使い終わった電池は、両面にセロハンテープを貼って絶縁します。空気電池はリサイクルされていますので、定期点検などで購入元の補聴器店へ行く際に持っていきましょう。それ以外でも、電気店や時計店、カメラ店に設置されているボタン電池回収箱に廃棄することもできます。

 

●今後は充電式電池が普及していく見込み 

小さくもちがよい空気電池ですが、外出先などで電池が切れたときにどこででも入手できるわけではありません。補聴器専門店や家電量販店でなければ、替えの電池を見つけることは難しいでしょう。予備の電池を用意しておくとしても、あまり大量に買い置きするのははばかられます。保証期限を確認したうえで、1年以内に使いきれる程度に留めておかないと、無駄にする恐れもあります。電池自体が小さいために、交換も細かい作業となり、なかなか面倒です。

こうした空気電池の難点を解決するのが、ここ数年で急速に普及しはじめた充電式電池です。現在では全補聴器の10%程度ですが、4年後には50%を占めるようになるとの予測も出ています。

 

●充電式電池の利点とは

充電式電池は、電池の寿命を気にする必要もなく交換の手間もいりません。補聴器のお世話になるのは高齢の方が多いですが、年を取ると聴力のみならず視力や手先の器用さも衰えます。充電式電池を使った補聴器ならば、充電器にセットするだけで交換の煩わしさもありません。

あとどれくらい電池のストックがあるかということも気にしなくてよくなります。従来の空気電池と併用できるタイプもあるので、外出の際も予備を持てば電池切れの心配から解放されます。

K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その19!

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K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その19!

 

補聴器がピーピーうるさい!ハウリング対策について

 

補聴器と耳の穴のすき間からもれた音が、再びマイクで拾われ音が再度増幅していくことでピーッというハウリング現象が起こります。対策は耳穴と耳栓の間にすき間をつくらないこと。オーダーメードでイヤーモールドをつくることでも改善します。

 

●ハウリングとは?発生する仕組み 

補聴器を使う人がよく悩まされるのが、「ハウリング」です。ピーピーと不快な音が補聴器から聞こえる現象で、つけている本人だけでなく周囲の人にまで聞こえるのが厄介な点です。装用者が音をうるさく感じるだけならまだしも、静かにしなくてはならない場所でハウリングが発生したら気まずい思いをするでしょう。

また、せっかく装用が目立たないタイプを選んで、補聴器を使っていることを周囲に隠していたとしても、ピーピーとハウリング音が鳴ってしまうと装用していることがバレてしまいます。

ちなみに、ハウリングは補聴器だけにおこる現象ではありません。マイクとスピーカーがあれば、講演会やカラオケなどいたる場面で起こります。これは、拡声装置などで発生する特定の音声振動数によって引き起こされるものです。スピーカーから出た音をマイクが再度拾ってしまい、フィードバックすることで特定の周波数で発振しているのです。とくに屋内で使用する場合には、音が天井や壁に反射するために発生しやすくなります。

同様のことが補聴器でも起こります。補聴器に音が入ってくると、音は増幅されて鼓膜へと送られます。鼓膜に伝わった音は、中耳、内耳を通って伝達されます。同時に一部の音は鼓膜ではね返り、先に増幅されている音がもと来た方へ戻ってきます。このはね返ってきた音が、補聴器と耳の穴のすき間からもれ出し、再び補聴器のマイクで拾われてしまうのです。このようなことがくり返され、音が再度増幅していくことでピーッというハウリング現象につながります。

 

●ハウリングが起こる原因は耳からの音もれ 

ハウリングが起きる一番の原因は、耳栓と耳の間からの音もれです。音がもれてしまうのは、耳栓が耳にあっていないか、しっかりと耳に装着されていないためです。まずは耳栓を交換して様子をみましょう。それでも改善されないのならば、イヤーモールドと呼ばれるオーダーメードの耳栓をつくりましょう。自分の耳の形から型取りするので、音もれが防げるはずです。

このイヤーモールドも、制作してから年月が経過すると耳の形に合わなくなってくることもあります。イヤーモールドを使っているのにハウリングが起きてしまうという場合は、再度作り直す必要があるでしょう。

高度難聴の人では、補聴器から出る音が大きくなりイヤーモールドを使っていても音がもれるケースもあります。この場合、広域の音質調整器で高域の出力を下げたり、イヤーモールドの音孔を細くしたりして広域の出力を抑えるなどの調整を行います。

耳栓だけではなく、フックやチューブの劣化で接合部にゆるみが生じ、音もれすることもあります。これについては部品交換で解決します。

耳栓が耳にきちんと装着されていない場合も、当然のことながら音はもれます。イヤーモールドがねじれて耳に入っていれば、耳穴との間にすき間ができます。

耳あな型補聴器の場合は、小さいので手先が器用でない人や高齢者では適切にはめられていないこともあるでしょう。補聴器の装着は目で見ながらではなく、手探りで行います。自分では正しく装着できていると思っていても、実は不具合があるかもしれません。一度、販売店に確認してもらうと安心です。

イヤホンとマイクの距離が近すぎてもハウリングは生じます。帽子をかぶっているとき、受話器を耳にあてたとき、トイレなどの狭い場所に入ったときも一時的にハウリングが起こることがあります。この場合においては、遮蔽物からの反射が原因と予測できるので取り立てて問題はないでしょう。

 

●ハウリングの対策方法 

対策は何よりも、耳と耳栓がぴったり合うように調整することです。耳栓で隙間ができているならばイヤーモールドをつくりましょう。イヤーモールドを使っていても、何年も前の古いものならば新調することで解決することもあります。

デジタル補聴器ならば搭載された機能によって、ハウリングをコントロールすることもできます。ハウリングの起きた周波数で続く高いレベルの音がマイクに入ってきた場合に、デジタル回路はハウリングだと判断します。するとその持続音に一致する周波数帯の増幅度を大きく減少させて、ハウリングを抑えるのです。ほかにも、ハウリングが起きる周波数をずらしたり、逆位相の音をあてて打ち消したりする方法が採用されています。

電話の受話器を耳にあてる、帽子をかぶるというようなハウリングを防ぎにくい状況下でも、ハウリングサポート機能が働くことでハウリングを抑制することが可能となります。

 

●自分で調整が難しい場合は信頼できる販売店へ相談しましょう

ハウリングの改善法として自分でできることは、耳栓の装着法を確認することくらいです。耳栓が耳の形状にあっているかどうかの判断や、適正な調整はプロフェッショナルである補聴器店の得意とするところです。不快なハウリング音に悩まされているならば、原因を解明するためにも販売店に相談することが解決への近道です。

K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その18!

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K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その18!

 

補聴器の寿命を延ばす管理のしかたとメンテナンス方法

 

補聴器は日々の管理と扱い方で寿命が大きく変わります。目安としては5年ですが、汚れや湿気を避けて定期的な掃除を心がけていれば長く愛用できます。定期的に補聴器店での掃除や点検を受けることも、寿命を延ばすポイントです。

●補聴器の寿命は管理方法によって左右される 

補聴器は高度に集積された回路を埋め込んだ精密機械です。持ち主の扱い方によっては、同じ時期に購入しても寿命に大きな差が出ます。毎日直接身につけ、温度や湿度の変化に関わらず使い続けるのですから、無理もありません。持ち主の管理方法によって、どのくらい長持ちするかが左右されます。

メーカーとして耐用年数を明確に定めてはいませんが、修理部品の保存年数は製造終了から5年とされています。このことからも一般的には8~10年程度を目安と考えてよいでしょう。防水機能や防塵機能がついているものならば、故障もしにくくなります。より寿命はのびるでしょう。

家電製品と同様に、使う頻度が高ければ消耗は早まります。加えて、寿命に大きくかかわる要素は、やはり日々の取り扱いとメンテナンスです。購入して1カ月で修理が必要になる人もいれば、適切に扱いメンテナンスやお手入れを欠かさずに10年近く愛用している人もいます。

ほとんど使わないでいた場合では、だいたい5年は問題なく使えるはずです。ただし、カビが生えたり接触が悪くなっていたりすることがあるので、再び使う際には補聴器店でクリーニングをしてもらう必要があります。

●補聴器を取り扱う際の注意点 

補聴器を長持ちさせるためには、次のことに気をつけてください。

<水分>

補聴器はデリケートな機器で水分を嫌います。耳かけ型では、頭にかいた汗が髪の毛を伝わり補聴器の中に入ってしまうことがあります。雨や雪の日も同様です。装用したままの入浴や、サウナに入ることも厳禁です。防水機能付きのタイプでも過信しすぎないようにしましょう。補聴器に直接水がかからなくても、濡れた手で補聴器のずれを直した際に水が入り込むこともあります。

補聴器の内部に水が入ると、回路のショートや、さびの原因となり故障につながります。イヤーモールドのチューブやフックに水滴がたまれば、音が届きにくくなります。

特に夏場や、運動を習慣とする人は汗から補聴器を守る対策を施したいところです。防水テープや防水カバーを使い、こまめに取り替える方法もあります。使用後には軟らかい布で軽くふき、乾燥ケースに入れて湿気を残したままにしないようにしましょう。

補聴器を濡らしてしまった場合は、慌てずに水分をふき取ります。フックや電池を外し、電池ケースの中も綿棒で水分を取りのぞきます。その後、ドライヤーの冷風で水分を飛ばします。最後に乾燥ケースに入れてください。イヤーモールドのチューブやフックの中に曇りや水分があった場合も、すぐに除去します。これも、ドライヤーの冷風で吹き飛ばすことができます。

<汚れ>

耳の中に入れて使うという性質上、耳あかが補聴器に入り、その酸で故障することがあります。音の出口がふさがってしまい、音が届かなくなってしまうこともあります。定期的に耳鼻科で耳掃除をして耳あかをためないようにすると同時に、耳あかガードをつけることも有効な対策です。

また、スタイリングの際に、補聴器をつけたままヘアスプレーを使わないように気を付けてください。手が汚れている時も不用意に補聴器をさわらないように心がけましょう。

<衝撃>

強い衝撃を与えることも厳禁です。回路自体は大丈夫でも、配線や接続部がおかしくなる可能性があります。コンクリートのような硬いものの上に落とさないようにしてください。できることならば、補聴器のつけ外しは座ったままでやることをお勧めします。低い位置からであれば、万が一落としてしまってもダメージは少なくてすみます。

また、小さなお子さんがおもちゃにしないように、置き場所も子どもの手の届かないところがよいでしょう。ペットを飼っている家庭では、補聴器を噛んで壊してしまう例もあります。何気なく置いてしまっただけでも、場所が悪ければ起こり得る悲劇です。

<高温・冷気>

熱にも弱いため、車のダッシュボードなど高温になる場所には置かないでください。濡れてしまってドライヤーで乾かす際も、熱風は避けてください。

また、冬場など寒い屋外から室内に入ると気温差で結露が生じます。メガネが曇るように、補聴器内も結露しています。乾燥材の入ったケースの中で室温まで戻るのを待ってから装用しましょう。

<紛失>

汚れや故障は対応することができますが、失くしてしまったら取り返しがつきません。残念ながら新しく買い直すしかないでしょう。小型のものほど、紛失の危険性は高まります。使わないときの置き場を決めておきましょう。高額の製品については、1~2年の紛失保証がついている製品が出てきています。購入するときに販売店でこの点について説明を受けてください。

●補聴器を長持ちさせるためのメンテナンス方法

補聴器のメンテナンス方法は難しくありません。毎日のお手入れは、乾いた布で軽く拭き取るだけです。就寝時や長期間使わない時には、乾燥材入りのケースにしまっておきます。乾燥材には期限があるので有効期間内で取り替えて使いましょう。長く使わないならば、漏電を防ぐために電池を抜いておきます。

定期的な掃除も、汚れ具合をみながら行います。音の出口についた耳あかは綿棒や専用ブラシで取り除きます。耳あな型ならば、耳あかガードをときどき交換します。耳かけ型では、チューブに水滴がたまることがあります。チューブを取り外して水滴を取りのぞきます。イヤーモールドもたまに洗ってください。

日常的なお手入れとあわせて、補聴器店での清掃や点検をお勧めします。長持ちさせるために、オーバーホール(分解清掃)までできれば理想的ですね。

K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その17!

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K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その17!

 

小型で目立ちにくいRIC補聴器をお勧めできる人、できない人

耳かけ型補聴器の新しいタイプがRIC補聴器です。スピーカーが本体の外にあるため高音質で、小型で目立ちません。オープンフィッテングで装用感も快適です。ただし、耳あかの多い人の場合は故障につながるためお勧めできません。

●RICタイプの形状と特徴 

補聴器と聞いて思い浮かぶのが耳かけタイプではないでしょうか。性能が向上しデザインも洒落たものが増えていることもあり、補聴器店で扱う機器の主流となっています。

この耳かけ型は、さらに2種類に分けられます。耳の後ろにかけて使う「従来型」と補聴器本体が分離した「RIC型」です。これまでは従来型が大半を占めていましたが、RIC型がサイズもより小さくなり、軽量化したことで人気を集めるようになりました。

小型化するほど電池交換が面倒だと敬遠する人もいましたが、電池を交換しなくてもよい充電式タイプも登場しています。今後いっそう普及していくことが予想されます。

では、RICタイプは従来型と何が違うのでしょうか。簡単に説明すると、スピーカーが本体と分離しているかどうかの差です。従来型の耳にかけて使う補聴器では、本体内部にスピーカーが内蔵されています。

フックにチューブをつけて音を耳に届けています。通常は太いチューブを使っていましたが、ここ数年では細いチューブを使えるタイプも出てきています。目立ちにくくはなりますが、スピーカーはあくまで本体の中にあります。スピーカーからチューブを通り空気伝達で耳栓に届けるため、構造上どうしても音声が変質してしまい、クリアに聞こえないという難点がありました。

その点、RICタイプでは補聴器本体とスピーカーが完全に分離され、接続は細いコードで行われています。従来型と違ってスピーカーが外に出ているため、本体をさらに小型化することが可能になっています。

構造としては、本体にはマイク・アンプ・テレコイル・電池などがあります。マイクで音を取り込み、電気信号に変換しアンプに届けます。アンプの中にはマイクロチップが搭載されていて、音を増幅したり音声信号のデジタル処理を行ったりします。テレコイルとは磁気で音を拾う機能で、まわりの雑音をカットして聞きたい音をクリアにする役割を果たします。

補聴器本体と耳栓をつなぐのは、チューブではなくイヤワイヤと呼ばれる細い線です。耳栓が音の出口となります。スピーカーが近くにあるので耳あかが詰まると音が聞こえにくくなります。そのため、ワックスガードが施されている機種もあります。

●RICタイプのメリット 

RICタイプではスピーカーそのものを外耳道の中に入れて装用するため、鼓膜の近くで音を捉えることができます。従来タイプのように鼓膜に届くまでチューブを通れば音の共鳴などの影響を受けますが、RICタイプならばクリアで高品質の音を得られるのです。

補聴器は耳の中に直接耳栓や補聴器本体を入れるため、初めての人などは装用中に違和感や閉塞感を覚えることがあります。今まででは補聴器を使う際には、耳の中をふさいで音がもれないようにするのが常識でした。聞きやすさのためだけではなく、ハウリングを防ぐためにも耳の穴を防ぐ必要があったのです。

しかし、近年では技術革新でハウリング制御の技術が上がりました。そのおかげで耳をふさぐことなく大きな音が出せるようになったのです。RICタイプでは、穴があけられたオープンタイプの耳栓となっています。音が自然に聞こえるのと同時に、自分の声もこもりません。圧迫感がなく長時間装用しても蒸れないことで快適に使用できるというわけです。

また、使っているうちに故障するパーツが出てくるものですが、とくに壊れやすいのがスピーカーです。このスピーカーが分離しているのですから、もし調子が悪くなっても補聴器本体を分解する必要もなく一部分だけの交換で事足ります。耳にかかるワイヤーもとても細いので、眼鏡と併用してもじゃまになりません。カラーバリエーションも豊富で、アクセサリー感覚で装用を積極的に楽しむことができるのもこのタイプの特徴です。

●RICタイプのデメリット 

良いことづくめのように思えるRICタイプにも欠点はあります。補聴器を検討するときはまず耳鼻科で診察を受けますが、その際に耳あかが湿っていたり量が多かったりする人や、耳垂れが出ていると言われる人には不向きです。耳の中に耳栓を直接入れるのですから、このような耳では故障しやすくなります。耳の中の曲がりがきつい場合も、装用で傷がつく恐れがあるのでおすすめできません。

耳の状態に問題がなかったとしても、補聴器自体にも弱点があります。それは耳の中に入れて使うという性質上、どうしても故障が多くなるということです。耳あかや汗の影響を受けやすいのがこのタイプの宿命です。

また、耳の中でしっかりと固定していないので、若干外れやすくなっています。何かの拍子に外れて、気が付かないまま紛失するケースもあるので、自分の使い方で落とす恐れがないかどうかを検討したうえで選ぶことが大切になってきます。

●RICタイプが向いている人

補聴器を使っていることをまわりに気付かれたくないという方で、耳かけ型を希望する人に向いています。耳の中に重さや閉塞感を感じるのが苦手な人も、オープンフィッテングならば、自然な着け心地で快適に過ごせます。

自分の声がこもって聞こえることが苦手で補聴器から遠ざかっていた人も、RICタイプならばクリアな音で響きを気にすることなく装用できるので満足できるでしょう。

K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その16!

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補聴器購入で信頼できる販売店を選ぶ11チェックポイント

 

補聴器の性能を生かすも生かさないも販売店しだいです。補聴器の購入にあたっては、信頼がおけて長く付き合える販売店で購入しましょう。認定補聴器技能者が在籍し、定められた施設基準を満たしている認定補聴器専門店がベストです。

 

●販売店選びが重要な理由 

補聴器で機種選びと同様に大切なのは、どこで購入するかということです。同じメーカーの同じ機種を買ったとしても、購入した先が悪ければその能力を十分に発揮させることは難しくなります。いくら高級な補聴器を手に入れたとしても、それが本人には合っておらず調整も上手くできていなければ宝の持ち腐れです。

補聴器は一度買ってしまえばずっと聞こえを良くしてくれるという性質のものではありません。使い方についての説明を受け、使ってみて不具合があれば聞こえ具合に合わせて何度も調整していきます。時間をかけて販売店と二人三脚で最善の聞こえをつくり上げていくのです。

こうした理由から、補聴器を購入するにあたってのお店選びは非常に重要な課題となります。聞こえの悩みに耳を傾けアドバイスを厭わず、アフターケアもしっかり面倒をみてくれる販売店を見つけたいものです。

信頼でき、長くお付き合いできるお店はどうやって探せばよいでしょうか?

 

●補聴器店を探す方法 

補聴器は薬事法で定められた医療器具ではありますが、特別な資格がなくても扱うことができます。そのため、販売方法や店舗設備には大きな開きがあります。身近なところでは、次の3パターンとなるでしょう。

・一般家電量販店

身近に店舗があり気軽に買いやすいですが、製品の種類が少なく聴力測定のための設備が整っていないことが多いです。補聴器専門のスタッフはいません。

・メガネ店/貴金属店/デパート

店によっては測定装置を設けているところがありまます。ただし、取り扱う補聴器が限られるため測定結果に合ったものが選べないこともあります。また、補聴器専門のスタッフがいるとは限りません。

・補聴器専門店

補聴器販売のために必要となる設備や販売体制、スタッフがそろっています。専門的な知識や技術には満足できますが、地域によっては店舗が限られることが難点です。

国民生活センターには、補聴器についての相談が増えています。補聴器を買ったものの、「思ったより聞こえない」「使うとうるさい」「アフターケアをしてくれない」などといった苦情が出るのは、大半が補聴器専門店以外で購入したケースです。専門店以外で購入する場合で多いのが、なんとなく立ち寄った家電店やメガネ店で言われるままに購入してしまうケースです。

本来であれば専門医で診察を受け、難聴の原因や状況を把握したうえで購入すべきなのが補聴器です。自分の聞こえの状態を知らないまま、どんな状況で使いたいかのイメージも持たないまま、なりゆきで決めてしまってよいわけがありません。

タイプや機能、性能のちがいから、補聴器の選択肢の幅は本当に広いです。事前にそれぞれの特徴や、購入後の訓練やメンテナンスのことを知らずに選んでしまったら上手く使いこなすのは至難の業です。さらに、販売店側の知識や専門性が不足しているせいで、アフターケアが適切に行われないこともあります。調整を行っていたとしても、きちんと聞こえないという声も挙がっています。

補聴器は精密な機械で、取り扱うためには耳の医学的専門知識をはじめ、電機・機械工学、カウンセリングのための心理学まで多岐にわたる知識が求められます。測定技術や調整法においても確かな技術が必要です。やはり、補聴器専門店が確実です。できるならば、認定補聴器専門店が望ましいですが、全国でわずか770店舗しかないので、まずは、認定補聴器技能者が在籍している販売店がお勧めです。

 

●良い補聴器店を見極めるチェックポイント紹介

実際に候補となるお店を見つけたら、以下の11のチェックポイントにそって納得できるかどうかを判断してください。

1.販売店の人柄はどうでしょうか?

よい補聴器との出会いはカウンセリングから始まります。聞こえの悩みや状況をしっかり理解してくれるかどうか、対応をみてください。

2.複数メーカーの試聴をできるでしょうか?

製品によって音質には個性があります。実際に聞き比べたうえで、しっくりくるものを選びましょう。

3.認定補聴器技能者はいるでしょうか?

4.販売業者の届け出と医療機器販売管理者は取得しているでしょうか?

5.聴力測定では何をやってもらえるでしょうか?

どこの販売店でも行うのは音が聞こえるかどうかの聴力測定です。そのほかに、言語の理解度を測る語音の明良性測定をするようならば信頼がおけるでしょう。

6.試聴期間はどれくらいでしょうか?

7.デジタル補聴器の調整に重要な機能群の内容はどのようなものでしょうか?

それぞれの聞こえ具合に応じて最適な調節を施せるかどうかで、快適な聞こえが左右されます。販売者の知識や経験がものを言います。

8.返品期間はどのくらいでしょうか?

9.製品の点検は何をしてくれますか?

10.購入後の微調整やアフターケアはどんなことをしてくれますか?

買ってからは知らんふり、では困ります。微調整やアフターケアをどのようなスケジュールで行うのかも確認し、できれば書き留めておきましょう。

11.保障と修理についてはどのような条件でしょうか?

なお、耳鼻科医の紹介や知人の口コミは信用できる判断材料ではありますが、最終的に決めるのはあなた自身です。お店で話を聞いていると言い含められそうだという人は、家族といっしょに話を聞いてもらいましょう。1人で判断するよりも、客観的な意見があった方が失敗もしにくいです。

K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その15!

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補聴器の価格は5~50万、機能を把握して選ぶことが大事

 

補聴器の価格は搭載されている機能と、それぞれの性能によってピンキリです。ただし、価格が高ければ高いほどよく聞こえるというものではなく、自分の聞こえの具合や使う環境によって適している製品は異なります。自分に合った1台を選ぶことが大切です。

 

●補聴器に搭載された代表的な機能 

補聴器はその名の通り、聴力を補うための機器です。聞き取りたい音を聞きやすい音質、音量にして耳に届けるためにいろいろな機能が開発されています。メーカーや価格帯によって搭載されている機能は異なってきますが、代表的なものとしては「ハウリング抑制」「指向性」「騒音抑制」が挙げられます。

 

・ハウリング抑制

何かの拍子で補聴器がずれたとき、「ピーピー」と不快な音がすることがあります。これがハウリングです。補聴器から出た音を、再度補聴器のマイクで拾ってしまうことで音が循環してしまう現象です。

ハウリングを抑制するには、いくつかの方法があります。ハウリングの音と反対方向の音の波「逆位相」を当てて消す方法、ハウリングが発生する音の高さのぶんだけ増幅の幅を下げてハウリングを防ぐ方法(これは、補聴器自体から出る音量も下げることになるため聞き取りにくくなることがあります)、そして、補聴器に入力される音と出力される音を高くずらしていくことでハウリングが起きやすい周波数帯域をなくす方法です。

 

・指向性

補聴器の指向性機能とは、ある特定の方向から入ってくる音を優先させる役割を果たすものです。私たちの耳の形は、前の音を集めやすい一方で後方からの音は入りにくくなっています。会話をするときには相手と向き合って話をするので、聞きたい音は前方から聞こえます。ですが、周りが無音ということはまずありえません。他の人の話し声や雑音があらゆる方向から飛び込んできます。

聞きたい音に集中して聞こえるようにするために、周囲の妨げとなる雑音や騒音を軽減させるのが指向性です。今普及している補聴器では、2つのマイクが前方と後方に搭載されているタイプが主流です。正面からの音は前方のマイクに入り、そして後方のマイクに入ります。横からの音は2つのマイクに同時に届きます。ここのわずかな時間差で、前方の音を強調し横や背後の音を抑制して特定方向の音を聞き取りやすくしています。

基本的な指向性は、前方の音はよく聞こえるものの後方の音は拾わない単純なものです。しかしそれでは、会議やパーティーのように大勢の人があちこちで話している場所では不便です。最新の製品では環境に応じて会話のある方向を察知してそちらの音を大きくし、雑音があればその方向からの音を抑制するという高度なタイプの指向性を備えた機器も登場しています。

また、静かなところでは雑音を遮断する必要がないので指向性を無くし、騒がしいところでは指向性を強めにするなどのコントロールを自動で行う補聴器もあります。

 

・雑音抑制

騒々しい場所では正常な人でも聞き取りにくいものですが、難聴になるとさらに聞こえにくくなります。正常な人では聞きたい音と雑音の比率の差が小さくても聞き分けることができるのですが、難聴になると聞きたい音と雑音の差がはっきりしていないと聞こえません。補聴器でそのまま音を大きくしても、雑音もいっしょに増幅されるので聞き取りは改善されません。

話し声を大きくしてもらえば聞こえますが、いつもそうできるわけではありません。ですから、雑音の方を下げるわけです。最近の機種では雑音と会話を認識したうえで区別し、要らない音を打ち消すための機能がついているものもあります。

 

●補聴器の価格は搭載機能と性能によりさまざま

補聴器を購入しようとパンフレットを見て驚くのが、その価格の幅ではないでしょうか。安いものでは片耳で5万円という商品がある一方、高額なものでは50万円という商品も存在します。ここまで価格に差があるのは、搭載された機能の種類と性能のちがいによるものです。

まず、補聴器メーカーが設定している価格設定を見ますと、大まかに5つのクラスに分けられます。

最高級クラス:40万円以上

上級クラス:30万円以上、40万円未満

中級クラス:20万円以上、30万円未満

普及クラス:10万円以下、20万円未満

入門クラス:10万円以下

また、選ぶ補聴器のタイプによっても価格帯はちがってきます。オーダーメイドの耳あな型ならば、その分の手間がかかりますので技術料が上乗せされ高額になりがちです。耳かけ型でも、より小さく軽量なものほど値が上がる傾向にあります。

機能も、単に音を大きくするだけならば安価な補聴器でもよさそうに思いますが、実際には雑音まで大きくなったり取り扱いが不便だったりします。まわりが無音という環境にずっといるわけでもありません。実際に生活する場面を想定すると、騒音抑制機能、ハウリング抑制機能、指向性は外せない基本機能といっても過言ではないでしょう。

海外・国内補聴器メーカーで販売されている、最高級・上級・中級クラスの価格帯では「騒音抑制」「ハウリング抑制」「指向性」の機能は搭載されています。その上で、性能の高さに比例して価格も上がっていきます。基本の機能のほかにも、便利な機能として「突発騒音抑制」「反響音抑制」「風切り音抑制」などの有無があります。自分が必要だと思う機能を見極めて、予算と相談しながらお気に入りの1台を見つけてください。はじめての補聴器、一般的な購入の流れと買い方

補聴器を購入する際は、まず耳鼻咽喉科で診察を受けましょう。その後、補聴器店でカウンセリング、フィッティングを行います。貸し出しサービスで聞こえの具合を試すこともできます。購入後も定期点検とアフターケアが受けられます。

 

●補聴器を購入する流れ 

補聴器は低下した聴力を補い、生活の質を高めてくれる便利な道具です。ただし、それが使う人の耳に合っていれば、という前提があってのお話です。補聴器は医療機器です。それぞれの聴力や言葉の聞き取り具合に適した機器を選ぶことが非常に重要であり、それは容易ではありません。

また、買って装着すればその瞬間からすべての音がクリアに聞こえるようになるという性質の道具でもありません。購入後には、実際に使ってみての不具合や要望をふまえての調整が不可欠です。使う人の状態や環境に合わせて、少しずつベストの聞こえをつくりあげていくもの、と考えていただければよいでしょう。

導入の段階では、使う人も自ら使いこなそうという意思と多少のトレーニングが求められます。長く使うものですから、フィッティングやメンテナンスなどのアフターケアも忘れてはいけません。

とにもかくにも補聴器販売店選びが大変重要です。せっかく購入したにもかかわらず、使いこなせずほこりをかぶったまま、なんてことにならないよう、正しい順序で自分の耳にぴったりの補聴器を見つけましょう。

K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その14!

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K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その14!

 

はじめての補聴器、一般的な購入の流れと買い方

補聴器を購入する際は、まず耳鼻咽喉科で診察を受けましょう。その後、補聴器店でカウンセリング、フィッティングを行います。貸し出しサービスで聞こえの具合を試すこともできます。購入後も定期点検とアフターケアが受けられます。

 

●補聴器を購入する流れ 

補聴器は低下した聴力を補い、生活の質を高めてくれる便利な道具です。ただし、それが使う人の耳に合っていれば、という前提があってのお話です。補聴器は医療機器です。それぞれの聴力や言葉の聞き取り具合に適した機器を選ぶことが非常に重要であり、それは容易ではありません。

また、買って装着すればその瞬間からすべての音がクリアに聞こえるようになるという性質の道具でもありません。購入後には、実際に使ってみての不具合や要望をふまえての調整が不可欠です。使う人の状態や環境に合わせて、少しずつベストの聞こえをつくりあげていくもの、と考えていただければよいでしょう。

導入の段階では、使う人も自ら使いこなそうという意思と多少のトレーニングが求められます。長く使うものですから、フィッティングやメンテナンスなどのアフターケアも忘れてはいけません。

とにもかくにも補聴器販売店選びが大変重要です。せっかく購入したにもかかわらず、使いこなせずほこりをかぶったまま、なんてことにならないよう、正しい順序で自分の耳にぴったりの補聴器を見つけましょう。

 

<補聴器選びの流れ>

1.耳鼻咽喉科の受診

耳が聞こえづらいと感じても、すぐに補聴器を買いに行かないでください。まずは耳鼻咽喉科で診察を受けましょう。医院では問診、診察、必要に応じていくつかの聴力検査を行います。耳の不調の原因を探り、聞こえのレベルを調べるためのものです。

 

2.補聴器適応の判定

問診や各種聴力検査の結果から、補聴器が必要だと判定されれば、実際に補聴器購入に進みます。補聴器外来を設けている医院ならば、次回診察の予約をとります。

補聴器店で購入するならば、診察で得た情報を補聴器店に提供してもらいます。これは「補聴器適合に関する診察情報提供書」というもので、患者が補聴器を装用する際の注意点や調整ポイントが認定補聴器技能者に伝わります。購入後は、調整した補聴器の報告書が認定補聴器技能者から医師にフィードバックされます。

 

3.補聴器店・補聴器外来

補聴器外来では医師や言語聴覚士、もしくは連携している補聴器店から認定補聴器技能士がやってきます。補聴器店では耳鼻咽喉科からの診断書があればそれをもとにしながら、困っていることや使用目的などのカウンセリングをしてくれます。

 

4.補聴器の選定・フィッティング・貸し出し

カウンセリングと聴力検査の結果から、予算に応じてふさわしい補聴器が選定されます。耳かけ型、耳あな型、ポケット型などそれぞれの特徴の説明もあり、実際につけてみながら自分の好みの補聴器に絞り込んでいきます。

補聴器の種類が決まったらフィッティングです。最新のデジタル式の補聴器は、コンピュータープログラムを使って細かな設定を行います。

実際の生活のなかで使ってみなければ、聞こえ具合がわからないこともありますので、補聴器店のなかには一定期間、貸し出しするサービスを取り入れているところもあります。失敗を防ぐためにも、可能であれば、補聴器の効果をある程度試してみてから購入することをおすすめします。

 

5.補聴器購入

納得のいく1台を見つけたら購入となります。耳あな型などでオーダーメイドとなる場合は、当日持ちかえることはできません。

 

6.点検・アフターケア

補聴器を通した聞こえには慣れが必要です。聞こえの状態や使用者の要望を受けての調整も、定期的に行います。また精密機械である補聴器はメンテナンスが欠かせません。補聴器店では最適の状態で使えるように、メンテナンスや修理などのアフターケアを行います。

 

●聴力検査は耳鼻科などの医療機関で 

実は、補聴器店でも聴力測定をやってくれます。ならば、わざわざ耳鼻科に行かなくてもよさそうなものですが、最初に診察を受けるのはきちんとした理由があります。

なぜかというと、難聴の原因が治療できるものであれば、まず治せばよいからです。耳あかが詰まっているだけだったり、中耳炎で液体がたまっていたり、鼓膜に穴が開いていたり…。このように、難聴の原因はさまざまあり、必ずしも加齢によるものとは限りません。

また、補聴器はイヤホンなどを耳のなかに入れて使います。外気道や鼓膜に異常があれば、補聴器を使うことで思わぬトラブルに発展する危険性もあります。安全に補聴器を装用できるか?ということも含めて、医療機関で総合的に判断してもらうことに意味があるのです。

 

●補聴器の購入は通信販売ではなく対面販売が安心

最近では、新聞や雑誌、インターネットで補聴器の通信販売を見かけることがあります。店頭まで出向く必要もないし、値段もずいぶんと安いので魅力的に映ります。ただ、お手軽なのには訳があるので要注意です。

まず、表記に注目しましょう。「集音器」であれば、医療機器として承認を得ていないものです。補聴器と違って単なる音響機器ですので、性能や安全性に疑問が残ります。

また、補聴器の認定を受けていたとしても、型落ち品であることも多く、しかもフィッティングの費用は含まれていません。補聴器はそれぞれの聞こえに応じた調整が不可欠です。通信販売ではカウンセリングはもちろん、調整もアフターケアも望めません。効果がないだけならまだしも、使い方を誤れば耳にダメージを与えることにもなりかねません。そのため、必ず対面で相談やアドバイスを受けられる店舗で購入するようにしましょう。

K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その13!

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K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その13!

 

補聴器の形状は大きく3種類、最近は新しいタイプも!特徴と選び方

補聴器は耳かけ型、耳あな型、ポケット型の3種類に分けられます。現在主流となっているのは耳かけ型です。しかし、形状によって性能も聞こえ方も異なり、それぞれに長所・短所があります。自分の使用目的に応じて選びましょう。

 

●補聴器の形状は大きく3種類 

補聴器はつける位置と形状から、耳かけ型、耳あな型、ポケット型の3つに分けられます。さらに耳あな型は製作方法によって、レディーメイド、カスタム、オーダーメイドに分かれます。その他にも数は少ないですが、メガネやヘアバンドの形をした骨導型補聴器というものもあります。

時代によって選ばれるタイプは変わってきていますが、現時点では耳かけ型、耳あな型が優勢です。つけていることが目立ちにくい点と、小型化・軽量化が進みファッショナブルな製品が増えていることが大きな理由です。

 

●3種類の補聴器、それぞれの特徴 

<耳かけ型>

半円形の本体を耳の上から後ろにかけ、メガネをかけるように装着するタイプの補聴器です。近年、性能が向上したことで最も選ばれているのがこの耳かけ型です。価格帯も幅があり、比較的安価な機種も出ています。機能やデザインも豊富なため、耳鼻科でも最初の1台としてすすめられることが多くなっています。

耳かけ型は、スピーカーとマイクの位置が離れています。マイクは耳のやや上に位置しているので耳周辺の音を集めます。そのため、ポケット型よりも耳に届く音は自然です。スピーカーは本体に内蔵され、本体からつながるチューブとイヤホンで音が伝わります。

また、耳あな型よりも本体が大きいため、操作もしやすくなっています。調節のためのスイッチやつまみも、耳あな型ほど小さくする必然性がないので、指先を動かしにくい方でも使うことができます。

本体のサイズは、電池にも影響します。特別小さな電池でなくてもよいため、扱いやすくて長持ちし、経済的です。スペースも余裕があるため、いろいろな機能を組み込むことも可能です。

これまでの耳かけ型では、耳を密封して音を漏れにくくしていました。ただ、自分の声がこもったりきゅうくつに感じたりするという欠点がありました。

最近では耳をふさがずに開放感のある「オープンフィッティング」というタイプも登場しています。

 

<耳あな型>

耳のくぼみ、もしくは耳の穴の中に入れて使います。補聴器のタイプの中で最も小さいので、目立たないということが一番の特徴です。色も一般的には肌になじむ色が採用されています。

音を集めるマイク、音を出すスピーカーが一体化していて、耳の穴に装用するため音のひずみやズレが生じにくく自然で理想的な音を耳に届けることができます。

安価な既製品もありますが、基本的には耳型を取ってオーダーメイドでつくります。1人ひとりの耳の穴の形状や聞こえの具合に応じて調整するので、ぴったりフィットし、補聴器をつけているという煩わしさがなくストレスを感じにくい仕上がりとなります。

ただ、小さいという点は魅力ですが、その一方で欠点にもなり得ます。本体が小さいために、多くの機能を装備することには向いていません。調整のためのつまみのたぐいも当然ながら小さくなります。そのため、取り扱いにはいささか慣れが必要です。

使われる電池も小さなサイズになりますので、交換しにくいという人もいます。ただし、音量の自動調整機能が装備されたものやリモコン操作ができるタイプもあり、その場合はさほど問題にはならないでしょう。

 

<ポケット型>

補聴器として最初に広く普及したのがこのタイプです。本体を胸ポケットに入れイヤホンを耳に入れて使います。胸元に挟んだり首から下げたりして使うこともあります。

ほかのタイプと比べて本体が大きいので、ボリューム調整は簡単です。耳に入れるイヤホンも、ポータブルラジオと同じように使えます。耳かけ・耳あな型では見えない部分を手探りで操作しなくてはなりませんが、ポケット型では手元において目で見ながらスイッチやボリュームの操作をします。指先が不自由な人や高齢者でも、違和感を覚えることなく使いこなすことができるでしょう。知らないうちに落として失くしてしまった、ということもまずありません。

補聴器は小ささと価格が比例するので、大きなポケット型は手軽な価格帯となっています。電池や充電池も、市販のものが使えるという点は便利です。

 

●それぞれのタイプ、どんな人に向いている?

耳掛け型は、手ごろな価格で幅広い聴力に対応しているため、多くの人におすすめできます。ポケット型のようにコードがじゃまになることもないので、外出して動き回ってもストレスはありません。耳あな型のようにずっと装用する負担も感じにくくなっています。お客さんが来たときだけつけてそれ以外は外しておくといったこともできるので、柔軟に使いたい人は耳かけ型がよいでしょう。

 

耳あな型は小さくて目立たないため、とにかく補聴器の外見が気になる、という人に選ばれています。人前に立つ仕事や人と接する仕事をしている難聴者の多くは耳あな型を使っています。若い人や女性にも人気があります。メガネやマスクをつけても耳に違和感がないため、メガネ愛用者にも好まれています。耳の内部で音を集めるので、聞こえは一番自然です。耳本来の聞こえ方に近いのが耳あな型です。仕事のために補聴器を装用する人や、音楽鑑賞や観劇を存分に楽しみたい人にも適しています。

 

ポケット型は、高齢者など、とにかく簡単に使いたい人に向いています。本体が大きく操作も単純なため、初めてでも戸惑うことがありません。あまり外で活動することがないという方にも、安価で操作も簡単なポケット型は使い勝手がよいでしょう。

K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その12!

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はじめてでも失敗しない補聴器の選び方5つのポイント

補聴器には多くの種類があります。自分に最適な1台に出会うためには、補聴器選びの5つのポイントを知っておけば安心です。下調べ無しにお店にいくと、勧められるままに購入して失敗することもありますので、聞きたい音の優先順位を予め考えておきましょう。

●購入前に想定しておくべきこと

補聴器を付けさえすれば、以前のように聞こえの力がよみがえる、と誤解されている方がいらっしゃいます。

確かに、最近の補聴器は性能が良く、ずいぶん便利になってきていますが、万能というわけではありません。補聴器は、聴力をサポートする機器であり、自分の耳ではありません。

補聴器の種類や性能に応じて、聞こえの改善具合は異なってきます。補聴器の効果を最大限引き出すためには、自分に合ったものを使うことがとても重要なのです。

また、どのような使い方をするかも予め検討しておく必要があります。購入して使い始めた後も、上手に使いこなすためには訓練が必要です。

ここの部分を履きちがえて、とにかく高い補聴器を使いさえすれば、確実に昔のような聞こえを取り戻せると思っていると、期待外れの結果となって失望することになってしまいます。補聴器を買いに行く前に、基本的な知識を身につけて、自分はどういったスタンスで補聴器と付き合っていくのかを大まかに決めておくのが良いでしょう。

①どんな場面で何の目的で補聴器を使うのか?

まず大切なことは、補聴器を使う目的を明確にすることです。いつ、どこで、何の音を聞き取りたいのか、優先順位をつけましょう。一言で補聴器といっても、多数の種類があり、それぞれ強みと弱みがあります。聞こえの問題で一番困っていることが何なのかがはっきりしていれば、適切な補聴器を選ぶことができます。

漠然と「聞こえるようにしたい」ではなく、「家族の話が聞こえるようにしたい」「会議で多くの人が集まるところで使いたい」「電話の声を聞きとりたい」など具体的に補聴器が必要となるシーンを想定して優先順位をつけておきましょう。

②予算をきめておく

補聴器は安いものでも5万円程度、最高級の機種では50万円台のものまで幅広い価格帯におよびます。老眼鏡と比べるとだいぶ高価で、けっして衝動買いをするような代物ではありません。しかし、補聴器は医療機器であり自分の耳をサポートしてくれる大事な相棒です。ある程度の金額になることは想定しておくべきでしょう。

ただし、価格が高ければ高いほど良い製品である、というわけではありません。一般的に、高額な補聴器には、あらゆる環境に対応するための多くの機能が備えられています。もしもそれらが、自分にとって必要な機能であり、フル活用することで生活の質が確実に上がるということでしたら、多少予算を超えたとしてもそれだけの価値があるといえるでしょう。

装用が目立たないようにするために、小型化に力を入れた結果、高価になっている製品もあります。おしゃれを楽しみたい、補聴器を使っていることを周りに知られたくないということでしたら、それなりの金額を出す価値はあるでしょう。反対に、他人から補聴器が見えても気にならない、それより価格が安い方が良いという人もいます。

何を重視するかで、その人にとっての価値が価格に見合うかどうかは違ってきます。その補聴器の性能や特徴が自分にとって価格相応の価値があるかどうか、それを頭に入れておき、納得のいく補聴器を見つけてください。

●補聴器を選ぶ5つのポイント(価格・タイプ・機能・メーカー・販売店)

数ある補聴器の中からどうやって最適な製品を選べばよいか、初めての場合は特に迷ってしまいますよね。ここでは、失敗しない補聴器選びの5つのポイントをご紹介します。

<価格>

補聴器は製品によって価格に大きな差があります。下記を参考に、あらかじめ予算の目安を立てておきましょう。

・基本価格帯 4万~9万

・普及価格帯 10万~25万

・高価格帯 25万~35万円

・プレミアム価格帯 35万円以上

<タイプ>

聴器の種類は「耳かけ型」「耳あな型」「ポケット型」の3つに大別できます。

・耳かけ型

最も販売出荷台数の多いタイプです。価格帯も幅広く、デザイン性に優れたコンパクトサイズの製品も増えています。メガネのように耳の上にかけて使いますが、補聴器本体は耳の後ろにあり、チューブでつながった耳栓から音を出す仕組みです。

多くの機能を搭載でき、耳への圧迫感がなく疲れにくいのがメリットです。デメリットとしては、その形状からメガネや帽子の着脱時に引っかかりやすいことです。汗や水の影響も受けやすいので、激しい運動にも不向きです。

・耳あな型

耳あな型は文字通り耳の穴の中に入れて使います。一般的には耳の型を取ってつくるオーダーメイドが主流です。

目立ちにくく、メガネやマスクをしていても邪魔になることはありません。運動する際にも支障はないでしょう。汗や雨の影響を受けにくく、自然に近い聞こえを実現します。ただし、耳あかや耳だれの多い人には適しません。

また、電池が小さくなるので持ちは悪くなります。価格はほとんど耳掛けタイプと同じですが、耳型を作る分だけ高いメーカーが多いようです。

・ポケット型

需要は少ないですが、操作が簡単で値段も手ごろです。携帯型音響機器のような箱型の形状をしており、本体を胸ポケットに入れたり首にぶら下げたりして使います。補聴器からの音はコードでつながったイヤホンから聞きます。

何といっても価格が安く、ボリューム調節やスイッチ切り替えなどの操作が分かりやすいのが魅力です。本体とイヤホンが離れているのでハウリングもおきにくくなっています。弱点は外出時や運動時には適さないことと、洋服の擦れる音を拾いやすい、ということです。

<機能>

補聴器には騒音や雑音をカットして快適な音を届けてくれる様々な機能があります。

・ハウリング抑制

ハウリングがおきる周波数をずらしたり、音の増幅の幅を小さくしたり、逆位相の音をあてて打ち消したりします。

・雑音抑制

たくさんの音が同時に入ってくると、会話が聞き取りにくくなります。そこで、入ってきた音の周波数を分析し雑音と判断された音を抑制します。

・指向性

ある特定の方向から入ってくる音を優先させる機能です。

<メーカー>

日本製のものよりも海外製の補聴器のほうが種類も多く、実際に販売されている台数も多くなっています。詳しくは、海外メーカーと国産メーカーの違いについて説明したコラムを参考にしてください。

<販売店>

補聴器は家電量販店やメガネ店でも購入することができます。しかし、補聴器は買って終わりではありません。細かな調整を繰り返し、よりよい聞こえを模索していくことが大切です。そのため、認定補聴器技能者が在籍している認定補聴器専門店を探しましょう。耳鼻科と連携していればなお理想的です。

お店選びは、使う人の気持ちを汲み取ってくれ、納得いくまで時間をかけて付き合ってくれるかどうかを重視してください。フィッティングやメンテナンスなどのアフターケアがしっかりしているかどうかも大事なポイントとなります。

K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その11!

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デジタル補聴器とアナログ補聴器の違いは音を処理する仕組み

補聴器にはデジタル式とアナログ式がありますが、ちがいは外から入ってきた音を処理する仕組みです。アナログ式では音を電気信号に交換し増幅して耳に届けるだけです。デジタル式では電気信号に変えた後にさらに数値変換(デジタル信号処理)を行います。

●アナログ補聴器の仕組み 

補聴器は大きく分けると、マイク、増幅器、レシーバ(スピーカ)の3つの部分からできています。簡単にいうと、音をマイクで拾い、増幅器で大きくしてレシーバから出すというものです。

もう少し詳しく説明しますと、補聴器の役割は空気を伝わる音の波(音波)を電気信号に交換し、これをそれぞれの聴力に応じて加工・増幅し、再び音波に交換して耳に届ける、というものになります。

こうした方式の補聴器をアナログ補聴器と呼びます。聞こえに問題がある人は、単に言葉だけではなく周囲の音も聞こえにくい状態にあります。

アナログ補聴器は基本的に、聞き取りたい言葉だけでなく、まわりの雑音までもすべて同じように増幅してしまいます。これまで聞こえていなかった多様な音が入ってくるようになることは、脳にはよい刺激にもなるのですが、難聴者本人からすると突然騒がしくなったように感じてしまうことがあります。

そうなると、本来最も聞き取りたかった「会話」も、増幅されたまわりの音が邪魔をしてしまい、上手く聞き取れなくなります。そもそも、難聴になっている人は、言葉を聞き取る能力も衰えていることが多いものです。それだけに、アナログ補聴器を使用しても、思うように他人の話が聞き取れないという人が現れることになります。

このように、雑音のコントロールが難しいことはアナログ補聴器の欠点といえるでしょう。

また、アナログ補聴器では聴力に合わせた音質の調整もできません。今から20年以上前の時代には、アナログ補聴器で高音域だけを、または低音域だけを調整する機能も出てきましたが、精密な対応は出来ませんでした。聴力測定のオージオグラムを手掛かりに、これでどうか?あれでどうかといった、問診での調整だったのです。

しかし、利点もあります。それは、音質が自然であることや、デジタルに比べると電池の持ちがよいという点です。そして、低価格であるという点も見逃せません。

●デジタル補聴器の仕組み

アナログ補聴器は音を電気信号に変えアンプがそれを増幅するしくみです。それに対してデジタル補聴器では、音を電気信号に変えた後にさらに数値変換を行います。0と1の数字で処理して設定した音に加工し、その数字を電気信号に変えてレシーバから音を出すという一歩進んだ仕組みです。

デジタル補聴器には、小型の高性能部品が詰め込まれており、もはや小さなコンピューターといっても過言ではないでしょう。外部の音もどんな性質の音で、どこから聞こえてくるのかまで特定できます。スピーカーも高い周波数から低い周波数まで、幅広い音域をカバーできるだけでなく、特定の周波数だけを聞こえるようにして別の周波数は控えめにするといった調整が自由にできるようになっています。

さらにデジタル補聴器が優れているのは、不要な音を抑える機能やハウリングを抑制する機能も付加できることです。マイクから入ってきた音はいったんCPUで分析するので、騒音と感じる音や特定の音を抑えられます。すべての音が同じように増幅されるだけのアナログ補聴器では、うるさすぎて使用をやめてしまったという人もときどき見かけます。

その点、デジタル補聴器では自分の耳に合わせて、必要な音が聞こえるように細かく調整できます。ですから、自分だけの快適な音環境を手に入れられるのです。

ただし、デジタル補聴器にも弱みはあります。膨大な情報の処理を行うゆえに、アナログ補聴器よりも電池の消費量は多くなります。音の抑制機能やハウリング抑制機能を使うほどに、当然、電池の持ちは悪くなります。また、処理量が増えればそれだけ音の加工に時間を要します。とはいえ、これについては違和感があるほどの問題ではないでしょう。

●近年は、機能性に優れたデジタル補聴器が普及 

1990年代後半から登場したデジタル補聴器のおかげで、補聴器の世界は飛躍的な進歩を遂げました。補聴器に耳を合わせるのではなく、自分の耳に補聴器の方を合わせる時代に変わったのです。店頭で販売されている補聴器もデジタル式がほとんどで、アナログ式はわずか3%ほどしかありません。

そもそも販売されていないのですから、アナログ補聴器の選択肢はほぼ残されていないというのが実際のところでしょう。

K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その10!

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日本・海外の補聴器メーカーと各メーカーの特徴

日本で販売されている補聴器メーカーは数多くありますが、売れているのは過半数が海外の企業です。

日本では海外に比べて補聴器の普及率も満足度も低くなっています。

これは、販売方法や助成金制度の不備によるものだと考えられます。

●海外の主要メーカー各社の特徴

一口に補聴器といっても、形状や性能は多種多様です。

また、日本のみならず世界各国のメーカーが製造しています。

より良い品質を追求し、各社ともに独自に技術を進化させています。

まずは海外の主要メーカーの特徴を販売台数順に比べていきましょう。

・ソノヴァグループ(商品ブランド:フォナック、ユニトロン)

日本でなじみがあるのは補聴器ブランド、フォナックとユニトロンでしょう。製品の内容としてはほぼ同一ですが、フォナックは1947年にスイスで創業した補聴器、ワイヤレス通信機に特化した企業です。

同社の補聴器は日本を含め世界100カ国を超える国々で支持されています。

どんな場所にいても自動的に最適な音の設定をしてくれる補聴サポート機能「オーソセンスOS」のほか、

最新テクノロジーを搭載したモデルは世界中から信頼を得ています。

ユニトロンは1964年カナダ創業の国際的補聴器メーカーです。各国の聴覚専門家と連携をとりつつ、最先端の補聴技術の研究や開発を推進しています。携帯での通話がハンズフリーで可能なモデルなど、ユーザー操作性を高めた製品づくりを行っています。

・ウィリアムデマントグループ(オーティコン、バーナフォン)

デンマークで1904年に設立されたオーティコンは、難聴の妻を助けたいという思いから始まった歴史あるメーカーです。オージオロジー(聞こえの理論)の研究から補聴器の開発までのすべてを自社で行っていて、生産管理から品質の保証まで、厳しい管理体制の中で製造をしている信頼性に定評があります。

この企業も、100を超える国や地域で補聴器事業を展開しています。

バーナフォンはスイスの補聴器メーカーで、言葉のメリハリがつくような聞こえを特徴とする補聴器を得意としています。

・WS Audiology(WIDEXとシバントスグループの合弁メーカー)

今年の3月にデンマークにあるWIDEXとシンガポールにあるシバントスグループ(シグニア、レクストン、A&M)が合併して出来た、世界第3位の補聴器メーカーです。

特にシバントスはもともと、ドイツを本拠地とする世界最大級の医療メーカー「シーメンス」の補聴器部門でしたが、

スウェーデンの投資会社が買収しました。

現在シグニア、レクストン、A&Mのブランドを展開しています。

性能の良さではシグニア、価格の手ごろさを優先するならばレクストンが向いています。

WIDEXは世界中にBLOOMという屋号の補聴器販売店網を展開しています。

日本にも既に60以上の販売店があります。

・GNヒアリンググループ(GNリサウンド、ベルトーン)

デンマークに本社をおき、ヨーロッパを中心として世界中に補聴器を届けるGNヒアリングは、洗練されたデザイン性でグッドデザイン賞などの受賞歴があり、また、ワイヤレス技術で最先端にあります。

ベルトーンは1940年設立のアメリカ大手補聴器販売店グループです。

ベルトーン補聴器はリサウンド補聴器のOEMです。

・スターキー社(スターキー)

1967年創業のアメリカ最大の補聴器専業メーカーです。

アメリカのほかに、カナダ、アジア、ヨーロッパ、オセアニアなど世界25カ所に製造拠点をもっています。

販売、流通拠点は1000カ所以上にものぼるグローバル企業です。

レーガン大統領が愛用していたことでも知られています。日本で販売されている補聴器メーカーは数多くありますが、売れているのは過半数が海外の企業です。日本では海外に比べて補聴器の普及率も満足度も低くなっています。これは、販売方法や助成金制度の不備によるものだと考えられます。

●日本の主要メーカー各社の特徴 

・パナソニック

1959年にポケット型補聴器を発表してから、60年近い歴史をもっています。全国の補聴器専門店、メガネ店、パナソニック系列の電気店などに置かれています。医療機関との連携も深いため、安心感が魅力です。

・リオン

音響関係の製品を手がけてきた小林理研製作所を前身とする、1944年設立の大手補聴器メーカーです。リオネットシリーズを展開し、アフターフォローや聞こえに悩みのある子どものサポートに力を入れています。

●補聴器をとりまく環境について、世界と日本の違い

補聴器の販売台数ランキングを見ても、上位は海外勢に独占されています。補聴器の普及率からして、欧米諸国と日本では大きな開きがあります。アメリカが30.2%、フランス34.1%、スイス41.4%、イギリスは42.4%に対して、日本ではわずか13.5%にとどまっています。

満足度にいたっては、さらに大きく差がついています。フランス84%、スイス、81%、イギリス70%、ドイツ77%、イタリア79%と総じて高水準なのに対して、日本では39%です。

これほど補聴器への満足度が変わってくるのはなぜでしょう?

実は、製品そのものの差が理由となっているわけではありません。日本でも海外製のすぐれた製品は手に入ります。問題となるのは、販売方法や購入後のサポート体制の有無でしょう。

欧米では医療機関と国家が連携をとって、難聴者それぞれのレベルや症状に応じた補聴器を販売する仕組みになっています。装着後の調整まで一貫して考えられています。

こと日本においては、販売業の届け出と医療機器販売管理者がいれば販売できます。そのため補聴器専門店以外でも購入は可能です。しかし、補聴器は買っておしまいではありません。細かな調整が必要ですから、販売店を選ぶことが大切です。

さらに、日本だけで流通しているものに補聴器や集音器の通信販売があります。皆さんも低価格を前面に出している新聞広告が目に入ってくると思います。補聴器は本来購入後の調整が必要なのに、そのサポートがない通信販売製品には、購入者の不満が常に付きまといます。聞こえの改善どころか、新たなトラブルのきっかけにさえなることもあります。

こうした状況が補聴器の評判を落落とすことになり、普及や満足度の低さに影響を与えています。

●補聴器の装用により難聴の進行を止めることはできるのか?

補聴器を装用することにより、裸耳の聴力自体が良くなることはありません。

しかし、音にメリハリがつくので、言葉を聞き取りやすくなります。そして、音や言葉の刺激が脳に伝わるようになるため、言葉を理解する認知機能の改善が期待できると言えます。

 

 

K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その9

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K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その9

 

補聴器の装用により難聴の進行を止めることはできるのか?

補聴器を装用することにより、裸耳の聴力自体が良くなることはありません。
しかし、音にメリハリがつくので、言葉を聞き取りやすくなります。そして、音や言葉の刺激が脳に伝わるようになるため、言葉を理解する認知機能の改善が期待できると言えます。

 

●難聴を放置していたら、聴力はだんだん低下していきます。

補聴器を使わず難聴をそのままにしておくと、どうなってしまうのでしょう?
結論からいうと、加齢による難聴でしたら明らかに低下していきます。この場合の「聴力」とは、あくまで小さな音が聞こえるかどうか、という「聞こえる」力のことを指します。
音を聞くといっても、「聞こえる」のと「聞きとれる」のは別物です。聞こえが悪くなったときに耳鼻咽喉科などで聴力検査をしますよね。防音室に入ってピーと鳴る音がヘッドホンから流れ、聞こえたらボタンを押すという検査です。周波数ごとに音を聞いて、聞こえた音のレベルを調べます。これは、どのくらい「聞こえる」かの力を調べる検査です。
ただ、それがピーという音ではなく言葉となるとどうでしょう。音として聞こえたとしても、言葉として聞き取れるとは限りません。
そこで、音を言葉として理解できるかどうかを測る検査もあります。同じように防音室でヘッドホン越しに「い」「ち」「し」などの単語を聞き取ります。低音域が聞けても高音域が苦手ということであれば、子音成分が聞き取れないということになります。
難聴の初期段階では、「ひ」と「し」などの聞き分けが難しくなります。補聴器を装着することにより、音にメリハリがつき、言葉として区別しやすくなります。つまり、相手の話している内容を理解しやすくなるのです。

●聴力と脳・認知機能の関係 

聞こえの低下は耳だけの問題ではありません。音は耳で聞くものだと思われがちですが、耳は音を電気信号に変換して脳に伝えているだけなのです。実際に音を理解しているのは脳です。一つの例として表現すると、聞こえた音を脳内にストックしてある言葉の辞書や表現のパターンと照らし合わせることで、意味のある言葉として認知しているのです。
外国語の習得に例えると分かりやすいかもしれませんね。始めのうちはまったく意味がわからず、単なる音の羅列としか感じられません。それが、学習を重ねていくうちに、単語単位で聞き取れるようになっていきます。これは、脳内において言葉を理解する神経回路が徐々にできあがってくるためです。
難聴ではこれとは逆の現象が起きています。今まで聞こえていた音が聞こえなくなるために、脳で言語を処理する回路が細くなっていくのです。それに伴い、言葉を処理する能力が低下していく、という理屈です。言葉が理解できなくなれば脳は萎縮していく一方です。

 

●難聴によって認知機能が衰える 

 

音が脳に入ってこなくなるということは、脳が刺激を受けなくなるのと同じことです。つまり、聴覚認知の障害が起こりやすい状況に陥るということです。厚生労働省が発表している新オレンジプランでは、難聴が認知症の危険因子として挙げられています。
認知機能は、視覚と聴覚、そして注意力の3つの働きから成り立っています。認知症の診断のなかで用いられる質問や検査では、聴覚認知についての質問も取り入れられています。補聴器を使わずに難聴を放置したままで試験に臨んでいると、実際には認知機能に異常がないのに軽度の認知症と判定されてしまうケースもあります。
そこまで極端ではなくても、「最近話が通じなくなって認知力が衰えてきたな」と思われていた人が、補聴器を使っただけで知性の向上が認められることがあります。よく聞こえないと、人から話しかけられても内容がわからなくなり、適切に返事ができなくなりますから、受け答えがスムーズでなければ、まわりから認知症では?と思われるのも無理はありません。
そうではなく、本当に難聴であることによって聞き取り能力が低下することもあります。音をはじめとする外界からの情報は脳への刺激になります。意識を向けて聞くことだけでなく、何気なく耳に入ってくるざわめきや自然音も脳の言語領域への刺激になっています。
言葉を聞き取る能力は、他の能力と同様に使わなければ次第に衰えていくものです。命に係わるものではない、何とか生活はできるから大丈夫、と難聴を放っておけば言葉の理解力はどんどん低下していきます。
音が聞こえると、耳から脳への刺激が発生するだけでなく、会話することができるので他人とのかかわりも以前のように復活します。人を避けて無口でいれば、脳の老化は進み、認知症の引き金にもなり得ます。

 

●難聴による認知機能低下は補聴器で予防できる 

 

認知症につながる原因は9つ判明しています。「中等教育の未修了」「高血圧」「肥満」「喫煙」「抑うつ」「運動不足」「社会的孤立」「糖尿病」、そして「聴力低下」です。食生活の改善や禁煙、適度な運動などは、健康のために日々心がけている人も多いことと思います。
しかし残念ながら、聴力低下について深刻に受け止めている人は、まだまだ少ないのが現状です。認知症の予防という意味からも、改善できる難聴は早いうちから手を打って欲しいものです。
まず治療できるものは治し、治せないものは補聴器を活用しましょう。敬遠されがちですが、メガネと同じと考えてください。使うことでより多くの情報や刺激を外界から受けられるようになるのです。きっと、補聴器を使うことで生きいきとした毎日が取りもどせることでしょう。

難聴や補聴器についての解説投稿を掲載しましたのでご覧ください。

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難聴や補聴器についての解説投稿を掲載しましたのでご覧ください。

K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その8

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K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その8

難聴の人に多い耳鳴りが補聴器を使うと楽になる理由

耳鳴りは音が入ってこなくなったときに、脳が代わりの音を補ってつくり出すことで発生します。難聴になると聞こえにくい音がでてきますが、その音が耳鳴りとなります。補聴器で音を脳に伝えることで過剰な脳の活動を抑え、結果として耳鳴りが消えていきます。

●耳鳴りが発生するメカニズム

健康な人でも体調によって耳鳴りがおきることは珍しくありません。人口のうち1割、高齢者に限っていえば3割近くの人が耳鳴りを感じています。しかし、誰にでもおきるからといって侮ってはいけません。まれに重篤な病気に由来することもあります。専門医に判断を仰ぎましょう。

静かな場所で明かりを消したときにだけ聞こえてくる、脈打つような耳鳴りは生理的な反応です。同様に、血流の音や呼吸音といった生体音が耳鳴りとなっているケースについては心配しなくても大丈夫です。

周囲に音がないのに、耳の周辺や耳の中で音が聞こえれば病気だろうかと不安にもなりますが、人の耳は何も刺激が入ってこないと自ら音をつくり出してしまうことがあるのです。

例えば、正常な聞こえの人が無響室に入れられたとします。無響室とは天井、壁、床のすべてに吸音材が貼られていて、全く音が響かない無音の部屋です。ふだんの生活環境では静かだと思っていても、風の音や時計の音など何かしらの音はあるものですから、耳からの音が全く入ってこなくなると、脳の聞こえをつかさどる回路が音の感度を上げようとして、あるはずのない音をこしらえてしまいます。これも耳鳴りです。

一次的な耳鳴りだけでは、それだけで異常があるとは決めつけることはできません。耳鳴りの原因についてはさまざまな仮説があり、はっきりとは解明されていませんが内耳の聴神経に問題があるという説と、脳に障害があるという中枢説があります。

耳鳴りの大部分は蝸牛の障害から始まります。問題そのものは蝸牛にあるのですが、音を感じるのは脳です。通常は時間の経過とともに気にならなくなってくるものですが、耳鳴りが慢性化し日常的に悩まされるようになることもあります。

これは、脳に耳鳴りの特別の回路ができてしまうためと考えられています。怪我をしたときに、傷は治っているのに古傷が痛むことがあります。耳鳴りが慢性化するのは、古傷が痛むのと同じ原理で、脳の中枢に特別な回路ができてしまった可能性が考えられます。

●補聴器で耳鳴りが軽減される理由 

難聴の人に限ってみると、5割から7割の人が耳鳴りを自覚しています。難聴と耳鳴りの因果関係は、耳鳴りがおきるしくみから推測できます。加齢による難聴で多い感音難聴では、音の電気信号が脳に届きにくくなります。そのため、脳は不足を補おうと活動量を増やし電気信号を必要以上に増幅してしまいます。結果として難聴になると日常的に耳鳴りが起こりやすくなるのです。

その証拠に、難聴の人で聞こえが悪い音域には個人差があるのですが、感じている耳鳴りは聞こえにくい音域と一致しています。

難聴が原因の耳鳴りならば、補聴器を使ってリハビリすることが可能です。聞こえが悪いことで脳が幻聴をつくり出しているのですから、補聴器で聞こえない音を脳に再び届くようにすればよいわけです。

補聴器で音が伝わるようになれば、脳神経の異常な活動が抑えられます。また、外部の音がクリアになることで耳鳴りによる聞こえにくさも軽減されます。今まで聞こえていなかった環境音も入ってくるので、耳鳴りをマスキングする効果も期待できます。

ただし、耳鳴りのリハビリとして補聴器を使う場合は、音量調節に注意が必要です。さらに、必要なときだけというわけにはいかず、一日中装着しなければなりません。一定期間の連続装用で、脳の回路をもとに戻さなければならないからです。

単なる難聴の場合と異なり、耳鳴りの治療としても補聴器を使う場合には、刺激となるように敢えて雑音が聞こえるよう設定することもあります。

●サウンドジェネレーターや耳鳴り治療機能付き補聴器について

耳鳴りの治療法は1つではありません。発症から時間が経っている場合は完治することが難しいですが、日常生活で気にならない程度にまでは改善できます。

よく「耳鳴りは治らない」と言われますが、完全にゼロにするのは難しいという意味です。適切に対処すれば、快適な日常生活を取りもどすことができます。

耳鳴りの治療法として音響療法という手法があります。音響療法は、音を使って耳鳴りを気にならなくさせるものです。適切な音を脳に送り続け、耳鳴りが発生しないようにする機器が「サウンドジェネレーター(音響発生装置)」です。耳掛けタイプの補聴器と似た形状ですが、音を増幅する機能はついていません。そのため、サウンドジェネレーターが適しているのは難聴の症状がないケースとなります。

前述のように、難聴の人の耳鳴りは補聴器を装着するだけでもある程度改善します。それでも、ひどい耳鳴りで苦しんでいるということでしたら耳鳴り対応型の補聴器を使うという手段も残されています。音を大きくするのと同時に、耳鳴り軽減のための音を出すことができる補聴器です。

サウンドも、サウンドジェネレーターのような通常のノイズだけではなく、波のような音も内蔵されていてより快適に使うことができます。価格の面でも通常の補聴器と比べてほぼ差はありません。辛い耳鳴りの症状に悩まされているようでしたら、検討の余地があるでしょう。

しかし、何を使うにしても、まずは耳鼻科若しくは脳神経内科に行って、検診を受けることをお勧めします。

K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その7

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K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その7

 

補聴器はいつからつける?早期に装用するメリット

補聴器をつけ始めるのは、本人が必要性を感じたときです。仕事をしている方でしたら、小さな声が聞き取れなくなってきたタイミングかもしれませんし、引退後ならば通常の会話が聞こえづらくなってきてから、など必要性を感じるタイミングは人によってさまざまです。補聴器は慣れるまで時間がかかりますので、早めの装用がおすすめです。

●補聴器を使い始めるタイミング

難聴の自覚がある人でも、補聴器を使っている人はおよそ4人に1人に留まります。「補聴器をつけると年寄り扱いされそう」「面倒くさい」などの理由から、装用に二の足を踏む人が多いのが実情です。ですから、難聴の自覚が無いとなると、自ら補聴器を使おうとする人はほとんどいないでしょう。

難聴かどうかを自分で判断するのは難しいですが、電話の音や目覚ましのアラームが聞こえにくいのであれば、高音域の音が聞こえにくいという難聴の一般駅な初期症状です。

家族など慣れ親しんでいる人ではなく、知らない人や店員に話しかけられた時に何を言われているかわからないことが増えてきたら、軽度難聴の兆候です。聞こえないわけではなく、言葉が聞き分けられないというのも難聴の症状のうちなのです。

また、自分では丁度よいと思っていても、周りからテレビやラジオの音が大きすぎると指摘を受けるようであれば、難聴が進んでいる可能性が高いです。

このような自覚症状がある場合は、一度耳鼻科を受診してみましょう。耳の聞こえ具合は、実にゆっくりと進むため知らぬ間に慣れてしまいます。それゆえ、誰かに指摘されない限り、自分で気づくことが難しいのです。

耳鼻科では難聴の程度と種類を検査します。検査の結果、補聴器が必要かどうか医師の判断がなされるでしょう。ただし、本人のライフスタイルや希望もありますので、一概にどのレベルから必ず補聴器をつけなければならない、という決まりはありません。

それでも、35db以上の音が聞こえるかどうか、というのは一つの目安になります。このくらい聞こえが悪くなった場合は、必要に応じて補聴器を装着する方が生活の質を保てます。40db以上になると普通に会話することも困難です。引退後で仕事などの重要な話が少なくても、やはり40dbを目安とした方がよいでしょう。

具体的な音の大きさでいうと、学校の教室で後ろの席に座ったときに、先生の声を聞き取るためには30db未満の音を聞く力が必要です。狭い場所でしか会話することがないのであれば不自由はないかもしれませんが、大人の会話はいつも大声というわけにはいきません。大事な話ほど小さな声でするものです。まだまだ現役として活躍する人ほど、早めに補聴器を活用すべきです。

●円滑なコミュニケーションには「聞く」力が必要

聞こえが悪いと、知らずしらずのうちに周りの反感をかってしまい人間関係が悪化することがあります。会話はキャッチボールに例えられます。お互いに言葉というボールを投げ合って、受け止め合ってこそコミュニケーションが成立します。

聞こえなければ、ボールが受け取れなくなります。あちこちボールを探し回り、投げ返してもあらぬ方向に飛んで行ってしまうのです。一度や二度ならば笑ってすませられますが、毎回ともなれば相手もストレスを感じます。

家の中ならば、大きな声でゆっくりと話せばよいだけでしょう。ですが、時と場合によっては大きな声を出せないこともあります。相手にとっても、思うようなペースで会話できないのはけっこうな心労です。相手にばかり負担をかけていれば、「もう会話は必要最小限でいいや」と思われてしまいがちです。本人もどうせ聞こえないからと、性格も後ろ向きになってしまいます。他人と接したくない、何に対しても興味が持てない、となると家庭内でも社会でも孤立してしまうことになるのです。

●補聴器を早期に装用するメリット 

補聴器は、本人が必要を感じたらできる限り早いタイミングで使い始めることが理想的です。使い始めてすぐに馴染むものではありませんので、慣れるまでに時間が必要だからです。

また、補聴器から聞こえる音は、自分の耳で聞く音と同じではありません。今まで聞こえていなかった周囲の雑多な音もいっせいに飛び込んでくるので、つけ始めは戸惑うこともあります。操作にも多少の慣れが必要です。

最初は上手く使いこなせないとしても、調整や練習を重ねていくことで満足する聞こえが手に入るようになりますが、高齢になり難聴が進行してからでは、こうしたトラブルに対応する気持ちの余裕がなくなりがちです。

K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その6

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K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その6

難聴が認知症の危険因子といわれる理由は?リスクを予防するには

認知症の要因として、「加齢」「高血圧」「糖尿病」「喫煙」などと並び難聴が挙げられます。聞こえないことでコミュニケーションが取れなくなり、孤立し疎外感を味わうからです。外からの刺激がなくなると、認知能力は低下します。

●難聴は認知症の発症要因の一つ 

高齢化が進む一途をたどる日本では、高齢者の4人に1人が認知症ないしは予備軍といわれています。団塊の世代が後期高齢者となる2025年には、その数は700万人を超えるとされています。

これを受けて、政府は認知症対策として新オレンジプラン(認知施策推進総合戦略)を策定しました。これは、2015年に厚生労働省により設けられたもので、認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしくくらし続けることができる社会の実現を目指しています。このなかで、認知症の危険因子についてもふれています。なんと、「加齢」「高血圧」「糖尿病」「喫煙」などと並んで、難聴が危険因子として挙げられているのです。

●難聴が、認知機能にどう悪影響を及ぼすのか?

聞こえが悪くなることで実際に困るのは、聴力の衰えそのものよりも、人とのコミュニケーションが取りづらくなって周りへの興味関心が薄れてしまうことです。

耳の聞こえが悪ければ、外へ出て人と話すことが段々おっくうになってきます。話しかけられても内容がわからない、何度も聞き返すのもきまりが悪い、受け答えがうまくできない…。このような煩わしい思いをたびたび経験するうちに、「外で人と会わなければいいや」と考えるようになるのです。そして、それまではカルチャースクールやジム通い、ボランティア活動などに精を出し活発だった人が、何をするにも面倒になり、引きこもりがちになってしまうのです。

また、仲間内で楽しくおしゃべりしていても、ほかの人が話していることがわからないと陰口を言われているように錯覚することがあります。実際にはそうではなくても、ひそひそ話をされているように感じるので、自分のことを悪く言っていると誤解してしまいます。みんなに伝えているはずの話も、聞こえないせいで自分だけが知らない、ということも出てきます。そうして次第に疑心暗鬼になって他人を避けるようになり、人との会話や社会との関わりが無くなっていくのです。

一般的に人間の脳は時間とともに能力低下していくものですが、刺激を与えることである程度は活性化することができると言われています。人とふれあい、会話し、社交的に活動することは脳への良い刺激となり、脳の活性化に有効です。

しかし、年をとれば行動範囲も狭まり、ただでさえ外から入ってくる刺激は少なくなります。それに加えて、コミュニケーションの機会まで減ってしまうと、脳は老化の一途を辿ることとなってしまうのです。

難聴になったからといって即認知症になるわけではないのですが、聞こえないことで世界が狭まり、認知機能にまで悪影響を与えるようになるのです。

●難聴による認知症リスクは回避できる! 

耳が聞こえないことは命に直接係わることでもなく、見た目に影響を及ぼすものでもありません。ほかの老化現象と比べても、日常的に危険にさらされるということも、痛み感じることもありませんので、多少の不便であれば、と見過ごしている人が少なくありません。

しかしながら、抑うつや認知症にまで発展するリスクのある難聴を放っておいてよいはずがありません。

これまで、難聴と認知症の関係性について解説してきましたが、実は難聴は「予防できる要因の中で、難聴は認知症の最も大きな要因である」と言われています。

つまり、難聴を改善すれば、認知症になる可能性を排除することができるというわけです。

聞こえが悪くなってきたと感じたら、放置せずに早めに対処しましょう。聞こえの力を保つことで、脳は活性化し家族や友人とのコミュニケーションも楽しくなります。認知症予防はもちろんのこと、生活の質の向上も期待できます。

●補聴器装用により聞こえの悪さを軽減

聞こえの悪さは補聴器で補うことができ、聞こえるようになれば、会話でのコミュニケーションが取れるようになります。それまで大声で一方通行の語りかけしかできなかったものが、他愛のないおしゃべりや冗談も交わせるようになり、社交性を取り戻すことができるのです。

耳から言葉を入れ、脳で考え、また言葉にして相手に返す。

この一連の流れで、脳はフル回転します。会話のキャッチボールは、楽しさや興味といった気持ちを呼び起こし、脳を刺激します。つねに刺激を受けている脳は衰えることを知らないとも言えます。

新しい情報にアンテナをたてていれば、周囲とのかかわりもいっそう楽しくなり、生活にハリがでてくることでしょう。家族関係や友人関係を良好なものにするために、耳の聞こえは欠かせません。

K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その5

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K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その5

難聴の程度(聴力レベル)と聞こえに関するチェックリスト

難聴は4つのレベルに分けられます。軽度難聴、中等度難聴、高度難聴、重度難聴があり、中等度難聴あたりから日常生活に支障が出てきます。約9割を占めるのが軽度・中等度難聴者ですが、補聴器を使っている人は高度難聴から多くなります。

●難聴は4つのレベルに分けられる 

聞こえが悪くなったかなと思っても、自分の聞こえが正常かどうかは何かしらの基準がなければ判断がつきません。多くの人は40歳を過ぎたころからだんだんと聴力が衰え始めます。老眼や白髪と同じような老化で、止めることはできません。加齢による聴力の低下も、白髪などのように個人差が大きいものです。若くても聞こえが悪い人がいる一方、高齢でも何の問題もない人だってざらにいます。

それでも、大半の人は高齢になるにしたがって、聞こえに不具合がでてきます。家族が話している言葉の綾やニュアンスを捉えることが難しくなり、会話が成り立たなくなるのもこの頃。同じことを何度も聞き返すのが嫌になり、無口になってしまいます。ゆっくり話してもらえば聞き取れても、早口の人のしゃべりは分かりにくかったりするのは難聴の特徴です。反響する場所やまわりが騒々しかったりしても聞き取りにくくなってきます。

そろそろ補聴器が必要なのかどうかと気になり始めたら、まずは自分の聞こえがどのレベルにあるのかを把握することです。音の大きさや聞こえの程度は、デシベル(db)という単位で表します。耳の聞こえの程度は聴力といいますが、これを数値化したものが「聴力レベル」です。

20歳男性の平均聴力レベルを0dbの基準にしています。この数値が大きくなるほど聴力が低下していることを表します。日本聴覚医学会難聴対策委員会の分類では平均聴力レベルが25db未満ならば聴力障害なしとされます。ちなみに、「平均」とありますが両耳の平均という意味ではありません。あくまで片側の耳についての周波数ごとの聴力の平均を示しています。聞こえのレベルは、周波数の高い低いでバラつきがあるものです。それぞれの周波数ごとに、右と左を分けて検査しています。そのため、片方は正常でももう片方が軽度の難聴だった、ということが判明することもあります。

■難聴レベル別の聞こえの状態

・正常

25db未満

ほとんど問題がありません。5~6m離れた人とも会話ができます。ささやき声も聞こえます。

難聴ではありません。この状態を保てるようできるだけ大音量にさらされないように。健康的な生活を心がけてください。

・軽度難聴

25db以上40db未満

ささやき声や静かな会話は聞き取りにくく、聞きまちがいもします。騒音のなかや、数名での会話が理解しにくいことがあります。

1~2mくらい離れた人と不自由なく会話できます。しかし、少し離れると聞き取りが難しくなります。補聴器のお世話にならなくても生活はできますが、一度耳鼻科を受診した方がよいでしょう。

・中等度難聴

40db以上70db未満

普通の会話でも不自由を感じます。すぐそばでゆっくりと大きな声で話さないと聞きとれません。

聞こえの悪さを自分でも感じるようになります。まわりの人からも指摘されることがでてきます。日常生活に支障が出るので補聴器が必要になってきます。

・高度難聴

70db以上90db未満

通常のコミュニケーションが難しくなります。補聴器がなければ音声を聞きとることはできません。ただし、補聴器を使っても軽度・中等度ほどには効果が感じられないこともあります。

・重度難聴

90db以上

かなり大きな音でないと聞きとれません。

人とコミュニケーションすること自体が難しくなります。補聴器でも聞き取れなくなる場合には、人工内耳を手術で埋め込むこともあります。

●難聴レベル別の人口比率 

日本補聴器工業会が補聴器に関する調査を継続して行っています。2018年の報告書によると、難聴者の割合は全人口の14.4%です。人口を1億2千万人とすると1424万人が難聴者となります。

そのうち、最も多いのが75歳以上で43.7%。次いで65歳から74歳が18%、55歳から64歳で10.8%となっています。補聴器を使うのはどのレベルからかというのは、みなさんが気になるところですがはっきりとした規定などはありません。人それぞれです。極端に言ってしまえば、多少聞こえが悪くても、仕事や日常生活に支障がなく本人が困っていなければ使わなくてもかまわないのです。

ただ、聞こえのレベルがかなり悪くなってからだと、補聴器の効果が上がりにくくなります。中等度以上になると聞きまちがいも増えてきます。普通の会話も難しくなってくれば、周囲の人も困りますね。

調査では、難聴の人のうち軽度・中等度難聴者の割合は94.9%。補聴器の保有率で見てみると、高度・重度難聴では61%、軽度・中等度難聴では9.1%でした。日本の場合は、聞こえのレベルが悪化してから補聴器をつける傾向があります。

●自己診断できる難聴のチェックリスト

聞こえが気になったら専門医に診断してもらうことが大原則ですが、まずは難聴のチェック項目で自己診断するものよいでしょう。簡単な質問票を用いて、耳の聞こえ具合を確認できます。

□初対面の人と話すとき聞こえなくて困ったことがある

□家族との会話で聞こえないことでストレスを感じる

□小さな声で話しかけられて困ることがある

□聞こえないことで不利益を受けることがある

□友人や親類、近所の人と話していて聞きとれなくて困ることがある

□よく聞きとれないために集会や会合に出ることをためらうことがある

□聞こえないことについて家族で話しをすることがある

□ラジオやテレビの音が聞こえにくいことがある

□聞こえないことでやりたいことが十分にできないと感じることがある

□レストランや食堂で知人の話がよく聞きとれないことがある

「はい」は4点、「ときどき」は2点、「いいえ」は0点で計算します。合計が10点以上だと軽度から中等度の難聴で、耳鼻科に行く必要があります。受診の必要があるかどうかを判断するために、このチェックリストを活用してみてはいかがでしょう。

K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その4

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K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その4

 

難聴の種類と特徴「伝音難聴」「感音難聴」とは

難聴には「伝音難聴」と「感音難聴」があります。原因となる障害が、音を伝える部分なのか音を感じる部分なのかのちがいです。音さえ大きくなればすむ伝音難聴と異なり、感音難聴は音の聞こえる範囲が狭まっているため個々人で調整が必要です。

●難聴には種類がある 

難聴は大きく分けると「伝音難聴」と「感音難聴」の2種類があります。そもそも難聴とは、音が伝わる経路や音を認識する器官に障害がおきることで発生するもの。その悪くなっている部分によって、聞こえの具合が異なります。

外耳と中耳といった音の振動を伝える部分(伝音系)の障害によっておきるのが伝音難聴です。音が内耳まで伝わりにくくなっている状態です。もう一つは、振動となり伝えられた音を認知し分析する内耳(感音系)の障害でおきる感音難聴。音自体が感じられなくなっています。

同じ難聴でも、この2つは全くちがうタイプの難聴です。伝音難聴と感音難聴が併発する場合もあり、これについては「混合性難聴」と呼ばれます。どちらの障害の割合が強いかで性質が変わってきます。それ以外にも何種類かの難聴も存在します。それぞれを詳しく見ていきましょう。

●伝音難聴とは、音を伝える機能の障害

伝音性難聴は、外耳と中耳のどこかに問題があることで生じます。ここは音が音波や振動として伝達され内耳に伝える部分です。鼓膜に孔があいたり、鼓膜の動きが妨げられていたりすると、音を上手く伝えられなくなるのです。その結果、脳が認識する音と実際に外耳から入ってくる音にズレが生じます。このズレが難聴です。

伝音難聴の特徴は、高度の難聴にはならないことです。聞こえが悪いといっても、耳栓をしたり耳を手でふさいだりのレベルです。大きな音ならば聞こえますよね。大きな音は、外耳から内耳を経由しなくても骨伝導で聞くことができます。また、それぞれの器官の問題を正常に戻すことで解決します。医療的な処置や手術で治療できるのも伝音難聴ならではです。

補聴器を使うのがよいか、外科的治療が好ましいのかは、耳の形状に左右されます。補聴器を使う場合でも、音さえ増幅できればよく聞こえるようになります。補聴器の恩恵を大いに受けられるでしょう。

●感音難聴とは、音を感じる機能の障害 

感音難聴と伝音難聴でもっともちがうのは、障害の部位です。内耳や内耳以降の部分、聴神経、脳のどこかにダメージを受けているのが特徴です。内耳は、外耳や内耳から送られてきた振動を電気信号に変えて脳へ伝える部位です。変換機能が損なわれることで、聞こえに問題がでてきます。悪いことに、伝音難聴とちがい感音難聴では聞こえのレベルはどこまでも落ちていきます。

聞こえの具合としては、特定の音域で聞こえづらくなります。伝音難聴では音が伝わらないことが原因なので、低音から高音まで一律で聞こえません。一方、感音難聴では、障害のある部分に応じて聞こえない音がでてきます。

さらに、感音難聴では、音をとらえ電気信号に変換する有毛細胞が減っています。正常な人ならば1万500ほどある細胞も、加齢や騒音にさらされることで死んでいきます。一度失われた有毛細胞は元には戻せません。残された有毛細胞で音を感じることはできるのですが、微妙な聞き分けはどうしても難しくなってきるのです。

●補聴器を必要とする方の多くが感音難聴 

難聴になっても、音を大きくすれば聞こえるのではないかと思われがちです。伝音性難聴に限っていえば間違いではありません。まわりの人に大きな声で話してもらうようにすれば、日常生活でそれほど困ることはないでしょう。しかし、感音難聴となると、そう簡単ではありません。

感音難聴では聞こえる幅が小さくなっています。内耳の外有毛細胞は、音が小さいときには感度を上げて耳をすまし、大きな音ならば反対に感度を下げる対応をします。正常な状態ならば耳から入ってくる音の幅は、内耳の自然な調節によって広げられています。しかし、外有毛細胞が上手く機能しないことで、小さな音が捉えにくく大きな音をうるさく感じるようになるのです。別の言い方をすれば、小さな音と、適正な音、うるさい音の範囲が狭まっているのです。

補聴器を使うことで、適正な音を聞き取れる範囲に収めることができます。単純に聞こえにくいからテレビの音量を上げるのとはわけがちがいます。補聴器の役割は、日常生活で必要な音を聞きやすくするためのものとなります。

●補聴器は感音難聴をどう補うか?

補聴器はどのような仕組みで聞こえをサポートするのでしょうか。伝音難聴だけならば、単純に音を大きくするだけでもだいぶ聞きやすくなります。しかし、感音難聴や混合性難聴では、音量だけ上げても大きな音を不快に感じることもあります。高い音だけが聞こえない場合でも、低い音まで大きくなりすぎてうるさくなるなど、必要な高音がかき消されたりする問題も生じます。

補聴器は購入して終わりではありません。個人の難聴のパターンに応じて、必要な音を必要な量で補うことで理想の状態に近づけていきます。購入時はもちろん、状況に応じて細かな調整を行うことでよりよい聞こえが手に入るのです。

K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿 その3

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聴力検査とオージオグラムの見方 自分の聴力を知ることが大事!

難聴を疑ったらまずは聴力検査を受けます。難聴の程度や種類を判断する検査では、音がどのくらい聞き取れているかを計ります。さらに、言葉が聞き取れるかを調べる語音検査も併せて行われることもあります。

●通常、まず行われるのが純音聴力検査

自分の視力はたいていの人が答えられますが、聴力となるとどうでしょう。健康診断でも聴力を必ず測るわけでもありませんので、自分の聞こえのレベルを正確に知っている人の方が少ないかもしれません。

聞こえの具合が悪くなり、耳鼻咽喉科に行くと問診の後に実際に耳を診られます。外耳道に耳垢が詰まっていないか、鼓膜は動くか、水はたまっていないかなど確認します。耳以外にも聞こえに関わってくる鼻やのど、顎関節も総合的に診断し聞こえの不具合の原因を探ります。

さらに行うのが聴力検査です。難聴の程度と種類を調べる目的のもので、保険適用となります。この検査によって、隠れた病気が見つかることもあるので、おっくうがらずに受けましょう。検査の結果に応じて、補聴器が必要かどうかを医師が判断します。

聴力検査にはいくつかの方法がありますが、通常まず行われるのが純音聴力測定です。これは、音が周波数ごとにどの程度聞こえるかを調べるものです。ちなみに、音の波形の出発点から始まって、再び同じ状態になるまでの時間を周期と呼び、1秒間にこの繰り返しが何回あるかが周波数です。

一般の音は複雑な成り立ちをしているのに対して、「その高さの音しか含んでいない」という純音を用いるため、より正確に聴力を調べることが可能になっています。

この検査では125、250、500、1000、2000、4000、8000ヘルツの7周波を計ります。日常会話では500、1000、2000、4000の4つの周波数が使われるため、これらの平均で難聴の程度が示されます。

音の強さは圧力の単位であるデシベルで表します。正常な耳で聞こえる一番小さな音の強さは、周波数ごとに日本工業規格で定められています。純音聴力検査で測定された聴力は、聴力図(オージオグラム)に記載されます。

●オージオグラムで難聴の程度や種類を判断

オージオグラムとは、検査でわかった周波数ごとの聴力レベルの値を記したものです。オージオグラムの横軸は音の周波数、つまり音の高さを表しています。左から右に向かって低い音から高い音になり、数値の単位はヘルツです。日常的に必要な音は125から8000ヘルツまでですので、この範囲のいくつかの音の高さで聴力レベルを記しています。

縦軸は音の強さを表しています。上が弱い音で下が強い音です。数値の単位はデシベルで、聞こえでいえば上にあるほどよく聞こえ、下に行くほど聞こえが悪いということです。ここで0デシベルが示しているのは、20歳の男性の平均聴力レベルから割り出した基準の数値です。特別に聴力が優れた人であれば、マイナスの数値となることもあります。

通常はヘッドホンを装着しての気導値で調べます。右耳の聞こえは〇、左耳は×で表します。そのほか、左右対称のカギ印で示されているのは、骨導聴力測定の結果です。ヘッドホンなしで耳の後ろあたりの骨に小さなバイブレーターのような骨導振動子をつけて頭の骨に直接伝わってくる音を聞く測定法です。外耳や中耳の影響を受けないため、内耳より奥の聞こえを調べられます。難聴の種類を確定するために欠かせない検査となっています。

オージオグラムの形状によって、難聴の程度や種類を判断することができるのです。

●言葉の聞き分け力を調べる語音検査も重要 

音が単に聞こえるということと、言葉として認識できることは必ずしも同じではありません。音が聞こえるかどうかというレベルだけではなく、言葉がどの程度聞き取れるかということを把握することも重要です。

高音域の聴力が衰えると、低音域の音は聞き取れますが高音域に多く属する子音の成分が聞き取れなくなってきます。例えば、「佐藤」と「加藤」の聞き分けができなくなる、などです。脳の障害や、加齢も音の聞き分けに悪い影響を及ぼすこともあります。

語音検査では、「あ」「さ」「ち」などの単音節のことばをさまざまな強さでヘッドホンから聞きます。20~50個聞いて正解率を求めるのですが、音を強くしても聞き取れない場合には、補聴器の効果が限定的となる可能性があるので、欠かせない検査です。感音難聴の症状が出ていると、上手く聞き取れないことがあります。

●他覚的に聴力を調べる検査方法も

このように、難聴の疑いがあって聞こえのレベルを調べるためには、いくつもの機械を使って聴力を細かく測ります。防音室にこもり、小さな音をいくつも注意深く聞くのは高齢の方にとって疲れることもあります。障害や判断力などに不安がある場合などは、上手く答えられないこともあります。家族の付き添いでカバーできればよいのですが、それも難しければちがう検査を行うこともあります。

ABR(聴性脳幹反応)検査や、ASSR(聴性定常反応)という方法で、音を出しながら脳波を調べます。通常の聴覚検査は、本人の申し出によって聞こえたかどうかを測定します。それに対して、これらは、聴神経の音の伝わり方を脳波として捉えます。本人の協力なしでも、客観的な結果が得られることとなります。

K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿その2

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K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿その2

 

難聴の主な原因は加齢によるもの、早めに耳鼻咽喉科で診察を!

突然聞こえが悪くなる場合は、中耳炎などの病気が原因となっています。しかし、難聴の多くは加齢にともなうものです。40歳ころからしだいに聴力は衰えているのですが、スピードがゆっくりのため本人が自覚しにくいのです。

●難聴を引き起こす可能性がある病気 

わずか数日の間に聞こえが悪くなった、急に聴力が落ちたと感じるならば、何らかの病気が難聴を引き起こしている可能性があります。難聴の原因となる代表的な病気についてご紹介します。ただし、素人判断は危険です。あくまで病院にいく目安としてお考えください。

・突発性難聴

ある日突然聞こえなくなる感音難聴です。50代から60代に多いもので、原因は不明ながら内耳のウイルス感染やストレス、循環障害といわれています。

内耳の狭心症や心筋梗塞に相当する緊急事態ととらえてください。軽んぜず安静にしましょう。自然治癒することはあまりなく、放置していると治療に長期間要したり、聴力が回復しなかったりすることもあるので、出来るだけ早い段階で耳鼻咽喉科医院を受診することが大切です。

・中耳炎

鼓膜と内耳の中間部分が、何らかの原因によって炎症をおこし、耳の傷みや閉塞感、難聴などにつながります。炎症の状態や時期で3つに分けることができます。

急性中耳炎

幼児に多く、鼻やのどから耳管にかけて感染することで発症します。難聴とともに現れる症状は、耳痛や発熱、耳だれです。

滲出性(しんしゅつせい)中耳炎

鼓膜の奥に液がたまる病気です。風邪が悪化して起こります。プールの後に耳の中に水が入ったときのような聞こえの状態が続きます。鼻も悪かったり、過去に中耳炎にかかっていたりすると治りにくくなります。まれに高度の感音障害につながります。

慢性中耳炎

急性中耳炎や外傷で鼓膜に穴が開いている状態を、長期にわたってそのままにしておいたものです。本来、防波堤となる鼓膜がないために細菌や汚れが鼓膜の中まで入りやすくなっています。感染と炎症をくりかえすことで、耳だれや難聴につながります。

・外リンパ瘻(ろう)

中耳と内耳の境にある窓から外リンパ液が漏れている状態です。重いものを持つ、鼻を強くかむ、興奮する、頭をぶつけるといったささいなことでも起こります。難聴は突発的で、めまい、耳鳴り、歩行障害なども症状として見られます。

・聴神経腫瘍

内耳道内の前庭神経に由来する良性の腫瘍です。腫瘍が大きくなり、蝸牛神経や内耳動脈を圧することで耳鳴りや難聴につながります。まれに、味覚障害や顔面けいれん、顔面神経まひにまで至ることがあります。

・メニエール病

内耳で内リンパがたまり過ぎた状態です。ストレスや自律神経障害が原因と疑われています。めまいをくりかえしているうちに、難聴が回復しなくなります。40代、50代に多かった病気ですが、最近では60代でも発症しています。

●日常生活に潜む、難聴につながる要因 

難聴を引き起こすのは、病気だけとは限りません。ふだんの生活のなにげない行動でも聞こえに影響することがあります。

・耳垢

耳垢がつまって外耳道がふさがってしまえば、聞こえは悪くなります。日本人は米国人とことなり、べっとりとした耳あかのタイプは少ないので外耳道がふさがることはまれです。しかし、そのようなタイプの人でしたら、日ごろから耳がたまり過ぎないように、耳鼻科で検診してもらうことを勧めます。

・音響外傷

限度を超えた大きさの音のそばにいたことで起きる難聴です。ロックコンサートやカラオケなどで短時間大きな音を聞いただけでも起こることがあります。事故による爆発音や花火の音では鼓膜が破れるなど、内耳障害を伴うこともあります。

・騒音性難聴

工事現場や採掘現場など常に騒音のある職場で働いていると、騒音性難聴と診断されることがあります。加齢や動脈硬化・糖尿病などの血管障害が難聴を促進することもあります。

●最も多いのは、加齢による難聴

難聴の原因で多いのは、上記のような病気や環境よりも加齢です。人間だれしも、年齢とともに体の機能は少しずつ衰えていきます。とは言え、ある日突然聞こえなくなるわけではありません。聴力においては、だいたい40歳を過ぎてきたころからだんだんと弱まってきますが、ごくゆるやかな進行のため自分ではなかなか気づきにくくなっていることが多いものです。

テレビの音が大きすぎると家族に指摘されたり、病院や銀行で名前を呼ばれても聞き逃したり、周りと上手くコミュニケーションが取れなくなったりと、毎日の生活のなかで何かと不都合がでてきます。人との会話で内容が聞き取りにくく何度も聞き返すようになれば、人と接することそのものがおっくうになりかねません。

以上のようなことがあれば、加齢による難聴を疑ってみてもよいでしょう。家族や親しい友人でも、耳が悪くなったと指摘するのは言い出しにくいものです。本人が自覚していないときに他人から決めつけられると、ついついそんな歳ではないと反発心が先立ってしまいます。まず、自分自身が難聴かもしれないという認識がなければ、対策をとることもできません。

加齢が原因の難聴は、高音から始まります。ゆっくりと進み、しだいに低音部も聞こえなくなってきます。病気による難聴とはちがって、年齢とともに落ちてしまった聴力は残念ながら元に戻すことはできません。その代わり、残された聴力を最大限活かして聞こえの悪さをカバーしていくことはできるのです。

K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿その1

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K・M様(東京在住)から、難聴や補聴器の解説投稿その1

 

難聴とは?耳で聞いて脳で理解する聞こえの仕組み

耳は外から入ってきた音を増幅し、電気信号に変えて脳に送る役割を果たしています。単に音が入ってきただけでは、脳は認識できません。聞こえた音が何の音なのかを判断するのは、あくまで脳の役目です。電気信号が脳に届かなくなることや、上手く脳で処理できなくなった状態が難聴です。

●耳の構造と音が聞こえる仕組み 

人間は社会的な生き物です。他人と意思疎通し心を通わせることで、人間らしく生きていくことができます。コミュニケーションの基本となるのが「聞くこと」と「話すこと」です。この2つは密接に関係していて、どちらが欠けても上手く他人とコミュニケーションを図ることができなくなるのです。

私たちの耳は、よくよく見ると変わった形をしています。なぜあのような形状をしているのでしょうか?耳の構造は聞こえの仕組みと関連しています。人間の耳は外側から順に、外耳・中耳・内耳に分けられます。音を聞くうえでの各部の役割をご説明していきます。

・音を集める外耳

外耳は、耳といって一般的に思い浮かべる貝殻のような「耳介(じかい)」と、耳の穴の「外耳道(がいじどう)」から成っています。耳介は軟骨でできていて、太い血管や脂肪の層もありません。顔からカップのように飛び出ているのは、面積を広くして音を集めやすくするためです。つまり、前方に向けて集音器をつけているようなものですね。

外耳道の長さは大人で約2.5cmから3cmあり、つきあたりに鼓膜があります。耳介でとらえた空気の震えを外耳道で共鳴させ、鼓膜を震わせます。鼓膜は半透明で厚さはわずか0.1㎜しかありません。そのため、耳掃除などであやまって傷つけてしまうことがあるのです。

・中耳が音を伝える

鼓膜からさらに奥に進むと中耳です。空洞になっていて、人体の中でも最も小さい3つの骨があります。耳小骨(じしょうこつ)といい、鼓膜の方から順につち骨・きぬた骨・あぶみ骨になります。空洞のなかは空気で満たされていますが、この空気は耳と鼻をつなぐ耳管(じかん)という細い管から入ってきます。耳管はふだん閉じていて、あくびをしたりつばを飲み込んだりすると開きます。飛行機やエレベーターで耳に違和感が出ることがありますが、これは外の空気圧と中耳内の気圧差によるものです。耳抜きをして元に戻るのは、耳管が開くためなのです。

・内耳で音を感じ脳に伝える

内耳にはカタツムリのような形の蝸牛(かぎゅう)と、体のバランスをとる三半規管があります。蝸牛の中はリンパ液で満たされていて、鼓膜や耳小骨からの振動が伝わってきます。蝸牛の中の液体の振動を、びっしりと並んだ有毛細胞が感じ取り電気的な信号に変換します。

有毛細胞はピアノの鍵盤のように、場所によって感じ取る音の高さがちがいます。入り口に近いところでは高い音を担当し、奥に行くにしたがって低い音を感じます。そのため、機能しなくなった有毛細胞の場所に応じて聞こえが悪くなるのです。一度壊れた有毛細胞は再生しません。有毛細胞は加齢にともなって減っていき、それとともに聞こえが悪くなってしまいます。

●「聞く」ことにおける脳の働き 

日常生活であらためて意識することはないかもしれませんが、「聞く」ということはどういうことでしょうか。私たちの身の回りには、ありとあらゆる音があふれています。車の音や鳥の鳴き声、街頭のざわめき…。耳に入ってきてはいても、すべての音をしっかりと聞いているのでしょうか。誰かと話しながら外を歩いているときは、相手の話し声のほかは耳に入ってきたとしても、雑音として扱われて意識されることはありません。

「聞く」ということは、単に耳に入ってきた音を感じ取るだけではないのです。耳の役目は音を電気信号に変えるだけ。聞こえた音が何の音なのかを判断するのは、あくまで脳の役目です。雑多な音の洪水の中から自分に必要な音だけを取捨選択して聞き取れるのは、脳の働きのおかげです。音を聞くためには、元となる記憶が脳にあることが大前提。知らない外国語が聞き取れないのはそのためです。反対に、脳を訓練すれば聞き取れなかった音もだんだんと聞きやすくなってきます。

●「難聴」とはどういう状態か?

程度の差こそあれ、年をとるごとに誰でも聞こえは低下します。個人差はありますが、聴力の低下は40代から始まっていると言われています。とはいえ、若いうちは聞こえにくさを感じることはなく、60歳くらいから衰えを実感し始めます。

難聴と一口で言っても、個人により症状が異なり、音の聞こえにくさがちがいます。耳のどの部分に問題があるかによって、難聴の種類は3つに分けられ、これに応じて選ぶ補聴器も変わってきます。

・伝音難聴

外耳と中耳の障害が原因です。音を伝えるための器官にトラブルが生じ、内耳に音が伝わらない状態になっています。

音は小さく聞こえますが、歪みは生じません。難聴が進むことがなく、多くの場合で治療すれば治るのが特徴です。治療及び補聴器を使うことで聞こえがよくなるタイプです。

・感音難聴

過半数を占める難聴のタイプで、内耳や蝸牛神経の異常でおこります。加齢によるものが多く、音が小さく聞こえるだけでなく言葉の聞き取りが悪くなってしまいます。

耳の奥の障害のため、外科的な治療もしにくく補聴器の効果も出る場合と出にくい場合があります。

・混合性難聴

伝音難聴と感音難聴の両方の聞こえにくさがある難聴です。別個の原因が重なったり、病気が悪化したりして初期は伝音性だけだったものが、のちに内耳にまで影響し感音性難聴もおきてしまうことがあります。

 

どの難聴に該当するかで選ぶ補聴器も変わってくるので、難聴の疑いがある場合は補聴器相談医が在籍する耳鼻咽喉科医院で診断を受けましょう。

投書箱に投稿された記事を掲載しましたのでご覧ください。

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販売者の対応について

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販売者の対応について

客番号:1711181

性別:男性

年齢:61歳

訪問先:眼鏡兼業店

都道府県:神奈川県

内容:聞こえが悪くなった自覚があるので、最寄りのお店に行き、補聴器の価格と製品内容の説明をお願いした。こちらの予算が限られていることは最初に話したのに、複数のメーカーの高い製品ばかり説明するので、いやになって帰ってきた。もっと幅広く説明してくれる販売店に行ってみようと思う。

販売者の対応について

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販売者の対応について

顧客番号:1708251

性別  :女性

年齢  :不明

訪問先 :補聴器販売店

都道府県:埼玉県

内容  :最近聞こえが悪くなったのを感じたので、最寄りの耳鼻科に行ったら、補聴器を考えた方が良いと言われ、先生に紹介された補聴器店に行きました。聴力を測ったうえで、結果に対する説明もなく、すぐに両方の耳穴の型を取ると言われて驚き、今日は別な用事があるので時間があるときに来ますと理由をつけて帰ってきました。自分の聞こえの状態がどの程度なのか納得の行く説明をしてもらいたいです。

 

販売店の対応について

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販売店の対応について

顧客番号:170701

性別  :男性

年齢  :不詳

訪問先 :眼鏡兼業店

都道府県:東京都

内容  :

先日試聴貸出しの新聞チラシが入っていたので最寄りの眼鏡兼業店に行った。補聴器の貸出しについて聞いたところ、貸出し用は両耳で30万円から、充電式は両耳で100万円と説明された。店内にあるカタログには片耳5万円位からの製品も記載されているので、もっと安いものはないか聞いてみたが、このお店には無いとのことだった。すごく高いものを買わされそうな不安を感じたので早々にお店を退出した。何処でもこのような対応なのだろうか?

補聴器を購入する時に、知っておくべき情報を善意で投稿してくださる方々もおられますし、国民生活センターに補聴器に関連したクレームが多数寄せられているように、補聴器の購入、調整、アフターケアなどで経験された悩みや問題の内容を投稿して頂ける方々もおられます。いずれの情報も、これから補聴器を購入する方には大変参考になる情報ですので、ぜひたくさんの投稿を御寄せ頂けることを望んでいます。

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